リタイアまでにどれだけ貯蓄をすれば大丈夫?

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若い時から計画的に準備することが重要

 人が一生のうちで支出する最も大きな出費として、「住宅資金」「教育資金」「老後資金」が挙げられます。
 これらは「人生の三大資金」といわれており、お金に困らない人生を送るためには、この三大資金を軸にライフプランを練っていく必要があります。

 実際、無計画に高額な住宅ローンを組んでしまったり、子供の教育にお金をかけすぎたために、老後資金を準備できないケースがよく見受けられます。

 人生を左右する資金にバランスよく対応し乗り越えていくためには、なるべく若い時期から計画性を持って準備し決断を下していく必要があるのです。


老後の生活費はいくら必要か?

 生命保険文化センターの調査によると、老後の夫婦二人の最低限の生活費は1か月あたり約22万円、ゆとりある生活費は約35.4万円となっています。

 また、65歳における平均余命から計算すると、男性は84歳、女性は89歳まで生きることになります。
 これらを前提にして、以下の条件で老後の生活費を試算してみましょう。

 (前提条件)
 ・リタイア時の年齢は、夫65歳、妻62歳
 ・夫が84歳まで生きるとして、夫婦二人暮らしの期間は19年
 ・妻が89歳まで生きるとして、妻一人暮らしの期間は8年
 ・夫婦二人暮らしの生活費は、最低限とゆとりのほぼ平均の30万円
 ・妻一人暮らしの生活費は、夫婦二人暮らしの生活費のほぼ7割の20万円

(老後の生活費
・夫婦二人暮らし 30万円X12か月X19年=6840万円
・妻一人暮らし  20万円X12か月X8年=1920万円
・合計      6840万円+1920万円=8760万円

 総額を計算するとかなりかかることがわかります。
しかし、老後には介護・医療の費用も考えておかなければなりません。


介護費用はいくらかかるか?

 日本人の健康寿命は、男性が71.19歳、女性が74.21歳で、平均寿命と差し引きすると、男性が約9年間、女性なら約13年間なんらかの介護が必要ということになります。

 一方、在宅介護を受ける場合、1か月に必要な介護・医療費用は状態にもよりますが、要介護1で5.4万円、要介護5で10.7万円、全体平均で約7万円となっています。

 従って、トータルの介護費用は次のようになります。
 ・夫  7万円X12か月X9年=756万円
 ・妻  7万円X12か月X13年=1092万円
 ・合計 756万円+1092万円=1848万円


リタイア時の貯蓄はいくら必要か?

 それでは老後の生活費や介護費用などへの備えとしてリタイア時にいくら貯蓄があれば良いのでしょうか。
 結論から申し上げますと、リタイア時の必要貯蓄額は、老後の費用総額と収入総額との差額になります。

 リタイア以降の主な費用や収入には、具体的には次のようなものがあります。
 (数字は試算用であり、各ご家庭により異なります。)

 (費 用)       (金 額)
 ・老後の生活費     8760万円
 ・介護費用       1848万円
 ・住宅ローン残高     600万円
 ・住宅リフォーム費用   500万円
 ・子供の結婚資金他    292万円
 ・費用総額      12000万円
 (収 入)       (金 額)
 ・年金         5000万円
 ・退職金        2000万円
 ・収入総額       7000万円

 仮に上記の数字で試算しますと、リタイア時の必要貯蓄額は、5000万円となります。
 実際に各ご家庭で計算されてみて必要貯蓄額を確保する見通しが立たない場合は、知恵を絞っていろいろと対策を考えなくてはなりません。

 例えば、奥さんに働いてもらうのも一つの方法です。年100万円を20年間貯めると2000万円になります。
また、月5万円節約すると20年で1200万円になります。

「備えあれば憂いなし」ということわざがあります。
どんな老後を過ごしたいか今から夫婦で話し合い、充実したセカンドライフに備えましょう。


【山下 幸子:ファイナンシャルプランナー】


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