by Valentina Powers

あまたの仮想通貨が世の中に出てきていますが、その中でBitcoin(ビットコイン)はトップを走り続けています。しかし、かつてコア開発に従事していた開発者が「実験は失敗だった」と述べているなど、界隈は順風満帆ではない様子。そこには、ここ1年以上解決されていない問題が残されていました。

What is the Bitcoin Block Size Debate and Why Does it Matter?

http://www.coindesk.com/what-is-the-bitcoin-block-size-debate-and-why-does-it-matter/



どんなものにでも大なり小なり問題はつきものですが、ビットコインが解決しなければならない問題は「ブロックサイズ」です。

ビットコインは、基礎に「ブロックチェーン」という仕組みを取り入れています。そもそもビットコインには「十円玉」や「一万円札」のような形は存在せず、「AさんがBさんに30コイン渡した」「BさんがCさんに15コイン渡した」のような、「それまでに行われてきたトランザクション(取引)の履歴」が通貨となります。

「一定期間の取引をまとめたデータの一群」がブロックで、ブロック内には1つ前のブロックのデータを短く要約したハッシュと、そのブロック固有のナンス(ノンス)が格納されています。

このブロックの中の取引は、行われた時点では未承認です。承認するには「キー」を見つけ出す必要があって、試行錯誤が繰り返されることになります。正しいキーが見つかって取引が承認されると、ブロックはすでに承認されたブロックに繋げられます。こうしていくつものブロックがチェーンを作り、1つの取引記録が作られています。

なお、新しいキーを見つけてブロックをつなげた先着1名に新しいビットコインが与えられます。この作業が「ビットコイン採掘(マイニング)」と呼ばれるもので、「先着」なので、他の人に先駆けてキーを見つけるために巨大な「採掘施設」を作る人が出てくるわけです。

「ビットコインを不正に大量入手したい」と考えた人がいて、自分の取引内容を改竄したとします。すると、ハッシュが一致しなくなるため、そのブロック以降のすべてのデータを改竄する必要があるのですが、改竄にも「キー」が必要です。ところが、新しいビットコインを「採掘」する人々は世界中にいて、どんどんとチェーンは伸びていくので、改竄の方が追いつかなくなります。この仕組みのおかげで、ビットコインの安全は保たれていると言えます。

猛烈な勢いで取引が行われていく様子は以下のURLで見られます。こうして、すべての取引履歴がオープンで、第三者による確認が可能というのがビットコインの特徴です。

https://blockchain.info/ja/unconfirmed-transactions



ビットコインが初期のうちは、ブロックは36MBの取引データを持つことができましたが、2010年にスパム対策や潜在的なDoS攻撃に備えて1MBに減らされました。この制限は、ビットコインのブロックが大量に増えて取引も増加した今でも続いています。

TrendBlockによると、2013年以降、平均するとブロックサイズは125KBから425KBに、取引量は1日あたりの数が2.5倍に増加。そして、1日に平均して4回はこのブロックサイズの限界に到達していたそうです。このため、「採掘」用のクライアントソフトではブロックサイズの初期設定が732KBにされるようになってきているのですが、それでも、「容量限界の壁」への到達は間もなくだとみられています。

TradeBlockによる、ブロックごとのデータサイズがどう変化してきたかを示すグラフ。2013年1月には100KBから200KBの間に収まっていますが、じわじわと右肩上がりに上昇、2015年1月からは500KB近い数字も出てきています。



ブロックサイズの限界に近づくことで考えられるのは、ネットワークの過度の負担がかかることによる取引の処理遅れ、そして遅れるだけではなく取引が拒否されてしまうことです。現行の仕様では取引は1秒間に7件(1日に約60万件)が限界なので、さらにネットワークが拡大した場合、取引承認(=採掘)にかかる時間は数時間どころではなくなる可能性があります。また、2015年時点で取引量は1日20万件と、すでにネットワークが持つ処理速度の33%は専有されている状態となっています。

であれば、36MBから1MBに制限を引き下げたときのように、ブロックサイズを拡大すれば良いのではないか、ということになります。当然、ビットコインの開発者もこのことには気付いていて、開発者のギャビン・アンドレセン氏とマイク・ハーン氏が「BIP101」という提案で提出しています。内容としては、制限を8MBに引き上げ、さらに2036年まで2年ごとに40%ずつ増加させていき、将来のCPUパワー・ストレージ・帯域の成長に適応していこうというものです。

アンドレセン氏はもともとは20MBまでの引き上げを目指していましたが、すでに50%以上のハッシュパワー(「採掘」力、計算力)を持っている中国のマイナーたちは、国による帯域制限があることから、大幅な変更に難色を示しました。他には、Pieter Wuille氏が年に17.7%ずつの増加を、Jeff Garzik氏が2MBの緊急拡張を、それぞれ提案しましたが、いずれもビットコインコア開発者たちの支持を受けるには至りませんでした。マイク・ハーン氏が「実験は失敗だった」とさじを投げたのは、こうした事情があります。

しかし、ブロックサイズは解決しなければならない問題であるため、一派がまずは現状のビットコインのブロックサイズを2MBに拡張した「Bitcoin Classic(ビットコイン クラシック)」を派生させました。一方、この派生はハードフォーク(互換性のないソフトウェアアップデート)なので、一斉に全員が切り替える必要があることから全体の支持を得られるものではなく、機能面で対応できると考えた人々が、取引データ内にある電子署名を分離してブロック自体のサイズを抑え込むSegregated Witness(Segwit)と呼ばれる機能を生み出しました。

2016年2月に香港で行われた非公式会合の中では、このSegwitを実装すること、2016年7月までにハードフォークを含めたビットコインコアをリリースすること、2017年夏をめどにハードフォークしブロックサイズを2MBに引き上げることが合意されました。

Bitcoin Roundtable Consensus - Medium

https://medium.com/@bitcoinroundtable/bitcoin-roundtable-consensus-266d475a61ff



ただ、この香港合意はあくまでマイナーたちを中心としたものだったため、開発者たちが反発。これに対して、世界最大規模のマイニング施設を運営している中国のマイニング企業・Bitmainが、香港合意を尊重した形でハードフォークがリリースされなければSegwitを導入しないと表明し、開発者と対立姿勢を見せました。

また、世界最大級のビットコインのオンラインウォレット・Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOは香港合意に反対し、Classic支持を表明しています。

いつまでも先送りにすることはできないのですが、諸々の事情が絡み合って、まだこの問題の結論は出ていません。