知名度は低いが、日本には国が“推奨”する食事の指針「食事バランスガイド」なるものが存在する。

 2005年に厚生労働省と農林水産省が策定したもので、「主食(ご飯など)」「副菜(野菜、キノコ類、イモ類など)」「主菜(肉、魚、大豆製品など)」「牛乳・乳製品」「果物」の5グループについて、1日あたりの摂取量とバランスが示されている。

 先日、この「食事バランスガイド(以下、ガイド)」の順守度と、脳・心血管疾患死との関連を調べた大規模調査の結果が報告された。

 同調査は、日本の11地域の健康な住民(年齢45〜75歳)、男性3万6624人と女性4万2970人を対象に実施。ガイドの順守度を70点満点で採点し、点数が低い順に4群に分けて死亡率との関連を調べている。追跡期間の中央値は15年間だった。

 その結果、ガイドの順守度が高いほど、全死亡率が低くなることが判明した。具体的には点数が10点高くなると、相対的な死亡率は7%低下。とりわけ脳血管疾患の死亡率は11%も下がった。

 また、野菜やキノコ類などの副菜と果物の摂取量が多いほど、死亡リスクが下がることも判明した。

 4群間で比較してみると、最もガイドの順守度が良かった群は、順守度が最低の群より全死亡率が15%低かった。

 死因別では、心筋梗塞などの循環器疾患死リスクが最良順守群で16%低下。脳出血、脳梗塞を含む脳血管疾患死リスクに限ると、22%と大幅に低下した。一方、がん死亡リスクは減少傾向を認めたものの、有意差はつかなかった。

 米国にも農務省推奨の食事ガイド「My Plate」がある。1枚のお皿の半分に穀物(主食)、タンパク質(主菜)を、残りの半分に野菜(副菜)、果物を配置しましょう、というシンプルなもの。シンプル過ぎて批判が出るほどだが、それでも順守している人は4割を切る。そして今や、米国の成人の3人に1人が心疾患持ちだ。

 昔から養生の基本は「食」だった。今日食べたものが、明日の健康を守る。それとも病気を呼び込むか、は自分次第なのだ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)