昨季はクラブでプレミア制覇を達成したが、「(昨季は)嬉しかった気持ちはあるが、悔しかった気持ちのほうが大きい」と心境を語った。(C)JFA

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「僕の中では終わりました」
 
 海外組のみが参加する日本代表合宿の3日目、チームに合流した岡崎慎司は、記者陣にプレミアリーグ優勝について尋ねられると、こう答えた。
 
「今は気持ちの面でフレッシュになり、完全に優勝のことを忘れている。日本代表でもいつもどおり試合に出たいし、いつもどおり結果を残したい。来季の身体作りの意味もある。ここから(再び)スタートという感じでもある」
 
“奇跡の優勝”と讃えられたレスターでの戴冠劇後、岡崎は「(優勝パレードの後は)チームの会をやって、タイに行ってまたパレードをして、いろいろ回って、後は家族とロンドンで過ごして」と、多くのイベントを消化しつつ、少しながら安息の日々も得られた。
 
「終わってからはなにも考えなかった。サッカーをやりたいと思うのは、勝手に出てくるので」と、まずはサッカーから離れ、頭をリセットしたのだという。
 
 ただ、生粋のストライカーの胸には、すぐに熱い想いが込み上げてきた。帰国したこの日は練習場へ直行し、ランニングで汗を流した。自身のメニューが終わっても、ロッカールームへ引き上げず、ピッチの傍らで仲間たちを鼓舞する。チームメイトの目立ったプレーに「キヨ! ユウト!」などと反応し、チームの雰囲気を明るくした。

 優勝という最高の結果を手にした昨季だが、大きな課題も残ったという。

「生き残るために自分にできることをやって、試合に出ることができた。ただ満足はしていない。自分がやりたいことは先にある。(そこに辿り着くための)希望というか道筋は見えた」

“やりたいこと”。それはシンプルに、もっと多くのゴールを奪うことだ。
 
「(昨季は)惜しいシーン、一歩届かないシーンがいくつもあった。それをゴールにつなげるだけでまた違ったと思う。その一歩を出せれば、先に行けたと思うし、そのために向上させなくてはいけないのは、動きの質なのか、タイミングなのか、(パスが)100%来ると信じることなのか、そのなにかを探さないといけない。それを掴めればさらに先に行ける。(昨季は)嬉しかった気持ちはあるが、悔しかった気持ちのほうが大きい」

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 世界最高峰のプレミアリーグで王者になったからといって歩みは決して止めない。今よりも高みへ――。その足がけとなるのが今度のキリンカップだ。

 第1戦ではブルガリア、第2戦ではデンマークまたはボスニア・ヘルツェゴビナと対戦する。デンマーク戦ではチームメイトのキャスパー・シュマイケル、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦ではシュツットガルト時代にチームメイトだったヴェダド・イビシェヴィッチと相まみえる可能性がある。
 
 戦友たちとの対戦を心待ちにしながら、慣れ親しんだ日本でもチームを歓喜に導くゴールを狙う。

取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)