ハリルホジッチ監督は原口のユーティリティ性を評価。これまで、ウイング、トップ下、ボランチ、右SBと様々なポジションで起用されてきた。(C)JFA

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 5月25日に帰国し、欧州組を対象とした日本代表の事前合宿に参加した原口元気は、合流2日目の26日、吉田麻也や長友佑都ら全体練習組に加わり、精力的に汗を流した。ブンデスリーガでの厳しい戦いを終え、心身ともに疲労が出てもおかしくないなか、「ツラいですけど、自分たちのためになる練習ができている」と充実感を覗かせた。
 
 原口は前夜、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督と個人面談を行なったという。指揮官はキリンカップのメンバー発表の際、「昨日、たくさん話しました。右SBに入れた時に(起用の意図を)理解していなかったので、彼にもう一度説明しました」と話している。右SBに入れた時、とは昨年9月に行なわれたワールドカップ2次予選のアフガニスタン戦のことだが、原口は「あの時はやったこともないポジションだったから、なんで?と思った。時間的にも短かったし、理解する前に終わってしまった……」と振り返る。

 ハリルホジッチ監督の下ではこれまでウイング、トップ下、ボランチ、右SBと様々なポジションで起用されてきた。個人面談のなかでも、今回のキリンカップでサイドハーフとボランチでの起用を示唆されたが、「長い時間を使って話したので、自分の言いたいことも言えたし、監督が考えていることもこれまで以上に深く理解できた」という。
 
「ポジションにこだわって出られないより、試合に出て自分を表現したい。だから、サイドハーフとボランチ、どちらでプレーしたとしても得点に絡みたいなと。それがポジションを掴むための一番のアピールになると思う」
 
 15年の6月以降、コンスタントに代表に呼ばれるようになっても、原口に安心感は一切ない。むしろ、危機感さえ覚えると心の内を明かす。ただ、厳しい競争に尻込みしているのではなく、そうすることで自らの闘争心をかき立てているのだ。
 
「僕は常に危機感を持ってやっている。そういう気持ちのほうが僕は合っているんで」
 
 この日、レスターでプレミアリーグ制覇を果たした岡崎慎司がチームに合流。“奇跡の優勝”の一端を担った先輩の姿を見て、さらに原口の心は燃えているようで次のように語った。
 
「チームとしてまとまって、走ってハードワークすれば、結果は付いてくる。レスターが世界中にそれを示してくれた。だからサッカーはおもしろい。今、岡崎選手の世代が代表チームを引っ張っているのは間違いないし、クラブでも素晴らしい成績を残している。でも、僕たち(下の世代)がもっとプレッシャーをかけられる存在にならないといけない。もっともっと早く(岡崎の世代の選手に)追い付きたいという気持ちが強くなった」
 
 キリンカップでは準決勝でブルガリア、決勝もしくは3位決定戦でボスニア・ヘルツェゴビナかデンマークと相見える。原口の代表キャリアにおいて、アジア諸国以外との対戦経験はなく(12年5月のアゼルバイジャン戦は不出場)、「自分たちと対等か、それ以上の相手を初めてやるので楽しみ」と心を躍らせる。最終予選、ひいては2年後のロシア・ワールドカップに向けて、存在価値を高められるか。原口にとって、今後を懸けた勝負の時間となりそうだ。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)