アベノミクスが掲げる「女性の活躍」によって、今後はますます女性の取締役が増えそうな雰囲気です。これまで男性ばかりだった取締役会に女性が入ると、どのような効果があるのでしょうか? 2009年に発表された論文によると、かなりの効果が指摘されているのです。
今月の知りたがりテーマ:女性取締役で会社は変わるのか?

実は私、この4月から某化粧品会社の社外取締役に就任しました。まだ1カ月程度しかたっていないのですが、自身の体験を先行研究のフレームワークを通して見てみると、「男性ばかりの取締役会では、女性の影響力がかなり大きいのではないか」と感じることがあったのです。
2009年に発表されたアダムス博士とフェレイラ博士による論文に非常に興味深い指摘がなされています。論文では、1996〜2003年の米国の大手上場企業を対象に、女性取締役が男性だらけの取締役会に入った場合に、何が起こるのかを分析しています。そして、この論文の中で、高齢男性だけの取締役会を「オールド・ボーイズ・クラブ」と皮肉っています。
男性同士だとつるみやすく、ものが言える雰囲気がつくりにくいのではないかということを示唆しているんですね。
では、そんなところに女性取締役が入ると何が起こるのでしょうか? 博士たちは、女性という異性だからこそ言いやすい場面や、取締役会に何かしらの影響が存在するのではないかと仮説を置きました。もちろん、これを測定するためには、企業タイプ、取締役の平均年齢、取締役会の人数など、さまざまな要素が深く関わってきますが、経済学の中の統計的手法で、こうした要素を取り除いて女性取締役の影響を分析しています。
女性取締役は「オールド・ボーイズ・クラブ」に入ってつるむことがないので、言いたいことを言う存在になっているかもしれないという仮説を置き、分析しています。女性取締役が入ってくると、業績が悪い企業の場合は、社長交代が促されやすいという傾向が示されています。男性同士だと空気を読みすぎて言い出せないところに、女性がズバリと意見するのかもしれません。実は、取締役会の男女比率も株価にとっては、意外なほど影響するのではと感じるこのごろです。

崔 真淑
Good News and Companies代表
神戸大学経済学部卒業後、大和証
券SMBC金融証券研究所(現・大和
証券)に株式アナリストとして入社。
入社1年未満で、当時最年少女性
アナリストとしてNHKなど主要メ
ディアで株式解説者に抜擢される。
債券トレーダーを経験後、2012年
に独立。現在は、日経CNBC経済
解説部のコメンテーターとしても活
躍している。