SOURCE1●日銀

6月の追加緩和に現実味。
4月に見送ったワケとは?

株式市場は7月にかけて、「政策」で動くことになりそうだ。5月26〜27日の伊勢志摩サミットに合わせて補正予算が打ち出され、6月16日には日銀の追加金融緩和決定が見込まれる。その後、同月23日には英国でEU(欧州連合)離脱を問う国民投票があり、7月10日には参議院選挙と重要イベントが続く。
4月28日午後、東京・日本橋の日銀本店。この日の昼間に発表した「追加緩和見送り」に批判的な質問が集中し、弁明に追われる黒田東彦総裁の表情にはいら立ちが見て取れた。日銀総裁会見は、日銀詰め記者の遠慮がちな質問ぶりから海外メディアが猝着〞を疑うほどだが、今回は国会論戦さながらの緊張感に満ちたものだった。
「物価目標2%は無理ではないか」「追加緩和はできないのか」「日銀は市場との対話に失敗したのではないか」―。ぶつけられた質問に共通するのは、現行金融政策の行き詰まり懸念だが、黒田総裁は「金融政策に限界があるとは考えていない」と、明確に否定した。
日銀は政策目標とする物価上昇率2%が実現する時期を「2017年度前半」から「2017年度中」に変更した。目標達成時期の先送りは6回目で、さすがに言い訳が難しくなっている。日銀は2月にマイナス金利を導入したが、それでも物価は下落基調を強めている。日本経済はデフレに逆戻りするリスクに直面しており、マイナス金利の効き目とともに、日銀への信頼性が揺らぎつつあるのだ。
これに対して黒田総裁は、マイナス金利の効果が出てくるのは「1〜2カ月ではないが、半年も1年も先ということでもない」と述べた。単純に考えれば、マイナス金利スタートから3〜5カ月先、つまり5月から7月のうちに、物価や景気が上向く兆候が見えてくると、日銀は猴集〞していることになる。
今国会は6月1日に会期末を迎え、それまでに政府は補正予算を成立させることになる。熊本・大分県大震災への対応から、参議院選挙後の第2次補正予算を待望する声が早くも出ており、こうした財政出動への期待感が株式市場を下支えしそうだ。さらに6月15〜16日には金融政策決定会合がある。日銀は4月会合ですでに物価やGDP(国内総生産)成長率見通しを引き下げており、政府との政策協調の観点からも、実行できる金融政策、つまり追加緩和をいつ実施してもおかしくはない。
また、為替相場も日銀に追加緩和を促すことになりそうだ。6月23日には英国でEU離脱の是非を問う国民投票がある。仮にEU離脱派が勝利を収めれば、ユーロ売りが強まる一方、安全資産としての日本円を買う流れは避けられそうにない。日銀にとって、急激な円高に備えて為替をやや円安気味に誘導しておく必要があり、その点からも緩和時期は4月ではなく6月がベストなのだろう。
さて、次回緩和の中身として予想されるのは「マイナス金利幅の拡大」「ETF(上場投信)購入の増額」の2点セットだろう。ECB(欧州中央銀行)が3月にマイナス金利幅を0・4%に拡大させており、日銀も追随して現行0・1%のマイナス幅を0・3%程度に変更するとみられる。
問題は株式市場の反応だが、マイナス金利導入を決めた1月会合の後、日経平均が急落した手痛い失敗がある。このため、日銀はETF購入枠を年3兆円から5兆円に拡大してくるとみられる。うがった見方をすれば、ETF枠の増額で株価を上げてしまえば、日銀は批判をかわせるわけだ。
次回緩和の評価は、国債の利回りが判定してくれる。緩和が好感され、デフレ脱却に役立つと判断する市場参加者が多くなれば、予想物価上昇率が上がるため、将来の物価見通しを反映する10年超の長期金利が上昇に転じる可能性が大きい。となれば、株式市場は再び長期上昇波動に乗ることになる。みずほフィナンシャルグループや住友不動産、ケネディクス、村ホールディングスなど、アベノミクス初動期に急騰した銘柄に勝機がありそうだ。