だるい、イラつく…それは貧血かも!日本は貧血大国だった
 なにかとストレスの多い現代社会。口を開けば、「だりぃ〜」とか「イラつくわ〜」とかいった言葉をあいさつ代わりにしているなんてことありませんか? 一向に上向かない景気のせいか、終わりのないかったるさを当り前のものと受け止めているフシすらあります。

◆50歳以下の日本人女性の22%は貧血

 けれども、単に精神的な不調かと思ったら、それは身体の内側から発せられるサインかもしれません。

 そうした「不定愁訴」と呼ばれる症状の多くは、貧血が引き起こしているといいます。“食べ物が溢れているこの時代に貧血?”と驚く人もいるかもしれませんが、事態は深刻なよう。『貧血大国・日本 放置されてきた国民病の原因と対策』(山本佳奈 著)は、このような書き出しから始まります。

<2006年、虎の門病院血液科の久住英二医師らが発表した、健康な日本人女性1万3000人以上を対象とする調査によると、50歳未満の日本人女性の22・3%は貧血で、そのうちの25・2%(全体の5・6%)は重度の貧血でした。

 また、妊婦の30〜40%が貧血で、これは先進国の18%とは比較にならず、どちらかといえば、発展途上国の56%に近い数字です。>
(まえがき ※改行・太字は女子SPA! 以下同じ)

◆日本人には「鉄」が足りない

 そして日本の貧血で最も多いのが、「鉄欠乏性貧血」と呼ばれるもの。読んで字のごとく、体内の鉄が足りなくなって起こるのですね。すると、血中の酸素が減り、次のような症状があらわれるといいます。

<頭痛、めまい、耳鳴り、ふらつき(嵩じた場合には失神)が起こりますし、心臓の筋肉が酸素不足になれば、狭心症になります。
骨格筋が酸素不足になれば、易疲労感(疲れやすい感じ)や倦怠感、脱力感が生じます。>
(第二章 貧血のメカニズム)

 もっとも、鉄分の摂取は、日本に限らず世界的な課題なのだそう。

 アメリカやスウェーデンでは小麦やシリアルにあらかじめ鉄分を混ぜておいたり、豊かとはいえないフィリピンのような国でも“鉄強化米”なる品種の開発をすすめ、貧困層にも行き渡るように施策されているとのこと。それなのに、日本はほぼ無策だというのです。

◆ダイエットで餓死寸前に

 そこに、若い女性がハマる無理なダイエットが加わると、危険な状態に追い込まれる。実際、高校時代に無理にやせようとしていた著者が体調を崩し、医者にかけこむと「餓死寸前です」と一言。

 2013年の統計によると、20代女性の平均エネルギー摂取量は、終戦直後の1946年よりも少ないという結果すら出ている。知識不足のダイエットが食事のバランスを崩し、結果鉄分不足を加速させている現状が浮かび上がってきます。女性の社会進出をうながす一方で、健康状態へのケアが手つかずになっているというのですね。

◆簡単で太らない「海苔」を食べよう

 今のところ国も手を打たない状況で、私たちにできることといえば、普段から意識的に鉄分を多く含む食材を摂る以外になさそう。たとえば、レバーや赤身の肉だったり、ほうれん草やナッツ類といったところは、よく知られているかもしれません。

 それに加えて、著者が注目するのが海苔。以下は、知人夫婦の実体験です。

<奥様は妊娠してから、貧血がひどくなったそうです。鉄剤は吐き気を催させることが多いので、悪阻がひどいと、服用は難しくなります。

苦しむ奥さんを目の前に、どうすれば貧血が改善されるのかと必死に調べた際、海苔に鉄が多く含まれていることを知ったそうです。そして、青海苔をあらゆる料理に振りかけ、毎日摂取させるようにしました。

すると、奥様の貧血はみるみるうちに改善されたそうです。>
(第十二章 何を食べ、どう気をつけるか?)

 しかしながら、勉強熱心なふつうの人が、いつもいつも正解にたどり着くわけではありません。だからこそ、国がガイドラインを設けておく必要があるのですが……。

“軽い不調”を未然に防ぐことを軽んじる社会に、果たして真の先進医療はあり得るのでしょうか。具体的な治療や大がかりな手術だけが、医療なのではない。本書の提言は、そうした当り前の事実を改めて思い起こさせてくれるのです。

<TEXT/比嘉静六>