米国のハイパーループ・システムや中国西南大学の真空チューブ超高速リニア列車などの「スーパー高速鉄道」の開発が進められているが、中国メディアの同花順財経は21日、これら超高速輸送システムの「実用化はまだ遠い」とする記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 米国のハイパーループ・システムや中国西南大学の真空チューブ超高速リニア列車などの「スーパー高速鉄道」の開発が進められているが、中国メディアの同花順財経は21日、これら超高速輸送システムの「実用化はまだ遠い」とする記事を掲載した。

 記事はその理由として、ハイパーループ・システムの商業化を目指す企業の1社であるハイパーループ・ワンが11日に行ったテストは、「複雑な輸送システム全体の一部分に過ぎない」と指摘。ハイパーループ・ワンが目標に掲げる2019年の貨物輸送、2021年の乗客輸送の実用化には「さらに一定の距離がある」という見方を示した。では記事が指摘する「一定の距離」とは、具体的にはどのような課題を指すのだろうか。

 記事によれば中国工程院のある院士は西南大学を参観後、真空チューブ超高速リニア列車は依然として「室内概念の試験段階」にあると評価したが、この院士はさらに、人の乗り降りのたびにチューブ内を減圧したり元に戻すには相当の時間がかかるうえに圧力漏れの危険があることや、超高速で走行する車両を制動する技術や乗客の安全性や快適性を保証するなども非常に重要な課題であると指摘。

 同院士は続けて、機器の絶縁信頼性や真空状態における通信コントロールシステムをいかに実現させるかなど「数十項目にわたる非常に難しい課題」が存在すると説明。また超高速走行における乗客の体力消耗の大きさや磁力が健康に与える害を考えると、「安全の観点からいえば真空チューブ超高速リニアはあり得ない」として、乗客輸送の実用化は非常に困難という見方を示した。

 同院士が真空チューブ超高速リニアの課題について具体的に指摘した点は、ハイパーループ・システムについても同様のようだ。それでも記事によれば中南大学のある副教授は「科学は常に前進しかしない」という原則に言及、ハイパーループ・ワンによる研究開発は続行されるという見方を示した。

 しかし前出の院士は西南大学の超高速リニア研究環境について「研究は比較的遅れており、スタッフのレベルにも問題がある。資金援助を得るのが難しいため、模型を作ることしかできないだろう」と指摘。どうやら中国による「スーパー高速鉄道」の実用化は、米国よりもさらに遠い道のりになりそうだ。

 記事はスーパー高速鉄道の実用化はまだ遠いとする見方を示す一方、いつかは実現するという積極的な見方も示している。考えてみれば、この100年の科学技術はまさに奇跡としか呼べないほどの進歩を遂げた。20年前の1996年当時、一体だれがスマートフォンの出現や世界的な普及を予想できただろう。科学の進歩がいつ何を社会にもたらすかを正確に予測できる人は誰もいない。「科学は常に前進しかしない」という原則は、確かにスーパー高速鉄道の実用化を期待させるに十分の説得力を有している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)