家庭でも正確な測定が可能となる(写真は試作品)

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「脳・心血管疾患の発症をゼロにする」──そんな大胆な目標を掲げる医療機器メーカー・オムロンヘルスケアが、この4月に画期的な「血圧測定器」を発表した。同社の技術開発部グループリーダーの山下新吾氏が言う。

「人間の心臓は1日に10万回程度拍動し、血圧は1拍ごとに変動します。現在の家庭用血圧計で主流となっている『オシロメトリック法』という測定方式は、上腕や手首の血管全体を圧迫し、血流を止めて測るため負荷が大きく、連続した血圧変動は測れませんでした。

 しかし、この血圧計は、手首の橈骨(とうこつ)動脈に圧力センサーを平らに当てる『トノメトリ法』という測定方式を用いており、強く圧迫せずに計測が可能となりました。その結果、10時間連続で1拍ごとの血圧を測ることができるようになったのです」

 脳卒中や心筋梗塞は、急激な血圧変動が原因だと考えられてきた。しかし、一時的な血圧変動しか測れないこれまでの測定方式では、そのリスクを知ることができなかった。

 また、病院を訪れると新たな病気が見つかる恐怖で血圧が上がる「白衣高血圧」や、逆に病院にいることで病気が治ると考えて血圧が低くなる「仮面高血圧」など、計測時に本来とは異なる値が出やすい人にも、この血圧計は非常に役立つ。

「これまで、同じような測定は大型の測定器にしかできなかった。それを手首に巻きつけるサイズにまで小型化することに成功したのです。これで睡眠中の血圧変動をカンタンに測ることもできます。

 長時間にわたる継続的な記録は、本来の平均血圧と変動値を正確に教えてくれます。脳・心血管疾患の発症リスクを早期に発見するために、我々はさらなる開発を進めていきます」(同前)

 この血圧計は試作段階で、来年度中には臨床研究用として医療機関への販売が始まる予定だ。

※週刊ポスト2016年6月3日号