「死ね」メールが100通…ストーカー被害を警察に訴えてわかった“落とし穴”
 2000年に「ストーカー規制法」が施行され、特定の恋愛対象者へのつきまとい行為や嫌がらせは罰することができるようになった。

 ところが、どんなに嫌がらせをされても「ストーカー規制法」が適用されないケースがあるという。恐怖の体験をしたアサミさんがその経験を語ってくれた。

◆元カレがストーカー化! 恐怖に怯えて過ごす日々

「彼との出会いはバイト先の居酒屋です。すらっとした長身と整った顔が魅力的な人で…正直、一目惚れでした。今思えば、それがいけなかったんですが」

 彼のほうもアサミさんを一目見て気に入ったようで、付き合うまでに時間はかからなかった。二回目のデートで一夜を共にし、そのあとはしばらく幸せな日々が続いたんだそう。

 ところが、異変はすぐに起こった。

「とにかく感情の起伏が激しくて、少しでも男の影が見えると狂ったように怒るし、納得できないと『死んでやる!』と自殺をほのめかすんです。すっかり疲れてしまって、別れを切り出しました。怖かったのはそこからです」

 どんどん彼の行為はエスカレート。アサミさんのバイト先に出向き「あの女は最低だ」「詐欺女」など、いわれのないことを叫ぶ、アサミさんの自宅の鍵を盗む、果てはアサミさんの両親や友人にまでその被害が及んだ。アサミさんにも毎日100通の「死ね」というメールが。

「一切の連絡は断ち、証拠をもって警察に行きました。彼は警察に厳重注意され、そして『もう(アサミさんに)近づかない』という誓約書にも署名。これで終わった…とすっかり油断していました」

 しかし、事件は終わらなかった。

◆警察が守ってくれる…と思ったら

「本当に、私が馬鹿だったんです」と切り出すアサミさん。

 友人を通じ、彼のTwitterを発見したんだそう。そこにはアサミさんに対する愛情や別れてどんなにツライか、アサミさんを怖がらせてしまったことへの後悔の念が綴られていた。

「可哀想になってしまって。警察から禁止されている彼との接触を破り、私のほうから連絡を取ってしまったんです」

 案の定、一度会ってしまってからは彼のストーカー行為は再開された。被害の大きさは以前よりは少なくなったものの、つきまとい行為や電話やメールでの罵倒などの迷惑行為は変わらずだった。

 しかし、再び行為がエスカレートする不安から、連絡を拒否することはせず何通かに一回のメールには返信。「本当に死なれたら嫌だから」という理由で一ヶ月に一回は彼の様子を見るために会っていたという。

 頃合いを見て再び警察に駆け込んだアサミさん。ところが、警察から告げられたのは「現時点でストーカー規制法は適用できません」という言葉だったという。

◆恐怖から連絡を取っても、「ストーカー規制法は適用できない」

 警察と警視庁ストーカー相談窓口で説明された理由はこうだった。

 被害のケースにもよるが、男女交際間のストーカーというものは、片方が別れを告げ「もう会わない」と宣言したにも関わらずつきまとう行為とされる。なので、本来なら禁止されている彼との接触をアサミさんの意志で破っているため、誓約書は現時点では効力を発しない。

 さらに現在も連絡を取っているということは「交際が再開した」とみなされるので、彼をストーカーとみなすことは難しい。

「驚きました。私は交際しているなんて認識はまったくないんですが、裁判でも負けるケースがあったそうです。『アサミさんが刺されるようなことがあれば傷害事件として扱いますが』と言われ…。それでは遅いんですが(笑)。

 警察からは再び彼に別れを告げて連絡を断つことを提案されました。そのうえであれば、再びストーカー規制法が適用されるということです。……でも、彼からの連絡を急に拒否すると逆上されそうで怖いので、頃合いをみて警察の指示に従おうと思います」

 それまではなるだけ一人にならない、会うことは絶対しない、通勤経路を変える、実家に避難するなど自衛を心がけて過ごすという。

※個人の体験のため、すべてのケースにあてはまる訳ではありません。ストーカー行為に遭遇したら、まずはしかるべき窓口に相談することをお勧めします。

●警視庁 生活安全総務課 ストーカー対策室 相談受付
相談受付時間 平日 午前8時30分から午後5時15分まで。
電話:03-3581-4321(警視庁代表)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/higai/dv/kiseho.html

<TEXT/女子SPA!編集部  PHOTO/Lenanet>