初の「世界人道サミット」が23、24の両日、トルコで開催され、人道支援資金の拡充策を打ち出した。写真は右から渡部正樹OCHA神戸事務所長、白石和子外務省女性・人権人道担当大使、長有紀枝JPF理事長(4月18日、日本記者クラブでの「人道サミット」会見)。

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2016年5月25日、難民急増など人道問題が深刻化する中で、人道支援の在り方を話し合う初の「世界人道サミット」(国連主催)が23、24の両日、トルコ・イスタンブールで開催され、人道支援資金の拡充、効率化の必要性を確認した。

今回の人道サミットには首脳55人を含む173カ国の代表や、援助機関、NGO、民間企業などの関係者約9000人が参加した。ただ大口資金提供元である主要7カ国(G7)のうち、出席したのは独メルケル首相だけ。主催した潘基文国連事務総長は閉幕の際、「失望した」と述べたという。日本からは福田康夫元首相が出席し、内戦が長期化するシリアからの留学生受け入れ拡大などを全体会合で表明した。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、紛争などで国外に逃れた難民や国内避難民は15年6月現在、第2次大戦後では最多の約6300万人に達している。

公表された議長総括によると、緊急人道支援の財源補填などを目的に国連加盟国が拠出する国連中央緊急対応基金(CERF)を、現在の約2倍の10億ドルに増額することで各国から支持が得られた。このほか世界銀行は、人道危機の発生を未然に防ぐことを目的とした開発事業に対し、超低金利の長期貸し付けを行うことになった。

世界人道会議の事務局を務めた国連人道問題調整事務所によると、潘基文事務総長は「気候変動は、世界の至るところで生命と暮らしに影響を及ぼしている。紛争、暴力的な過激主義、国境を超える犯罪、格差拡大により、無数の男女や子供たちの命が奪われ、彼らが暮らす地域全体が不安定化している」と指摘。「今日の複合的な課題は国境を超え、単独で対処できる国家も組織もない。こうした課題に対処できるよう、国内、地域、国際的な機関の能力への信頼性を回復させねばならない」と訴えた。

その上で、同事務総長は「政策を形作り、財政支援の判断をするのは、人道主義という共通の価値観であるべきだ」として、次のような「人道への課題」を表明した。

(1)指導者は紛争を予防し、終わらせるため、政治的な解決への取り組みを強化しなければならない。紛争の莫大(ばくだい)な人的、経済的コストは、人類発展の最大の障害である。私たちは、危機の管理から予防へと移行する必要がある。

(2)各国は人道性を保障する規範を堅持しなければならない。それは、国際人道法や国際人権法を順守し、市民やその居住地域を標的にした爆撃や砲撃をやめることだ。国内、国際的な法制度にのっとり、こうした行為の免責を許さないことでもある。

(3)誰も置き去りにしてはならない。まずは、最も支援が遅れていた人々に手を指しのべるべきだ。紛争や慢性的な貧困を含む、最も脆弱(ぜいじゃく)な状況に置かれた人々、自然災害や海面上昇の危機にさらされている人々の生活を変えるということである。そのためには、強制的に家を追われる状況を減らし、移住者に対して正規かつ合法的な機会を提供しなければならない。(八牧浩行)