知れば知るほどハマるかも

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世界一有名なグラフィティアーティストであるバンクシー。欧米を中心に世界中に彼の作品のファンがおり、壁に描かれた作品が壁ごと切り取られてオークションにかけられるほどです。しかも、落札金額は1億円を超えることもあるのだとか。日本ではあまり知名度が高くありませんが、バンクシーについての映画が公開されるなど近年は人気が高まってきています。名前は知らなくても、作品を目にしたことはあるかもしれません。では、バンクシーとはどのような人なのか、なぜ人気があるのかをご紹介していきます。

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■ バンクシーとは

バンクシーは謎の多い存在で、本名や生年月日だけでなく素顔も公表していません。そのため、イギリスのブリストル出身でロンドンを中心に活動しているということくらいしかわかっていません。作品もグラフィティアートやストリートアートをゲリラ的に描くという手法をとっていて、有名な美術館に無断で自分の作品を展示したり、イスラエルの分離壁に絵を描くなど、その行動自体も話題になっています。最近でもフランスにある難民キャンプの壁に難民風のスティーブ・ジョブズを描いたことがニュースになりました。その反面、ロンドンの街ではバンクシーの作品が普通の街角で見つけられるほど、生活の中に馴染んでいます。日本と同じようにイギリスでも壁への落書きは違法ですが、バンクシーの絵は国民から支持や観光客が呼べるという理由から消されずに残っていて、強化ガラスで保護されている絵もあるようです。

■ バンクシー作品の特徴

バンクシーの作品の特徴は、社会風刺やユーモアたっぷりの皮肉が込められていること、そして、その作品のメッセージが最大化される場所に描かれることです。先ほどご紹介した難民風のスティーブ・ジョブズを描いた作品も、スティーブ・ジョブズの実の父親がシリアの政治難民だったことから、「難民を排除するということは、未来のスティーブ・ジョブズを排除することになる」というメッセージが込められていますが、街角に描いたり展覧会に出展したりするのではなく、難民キャンプの壁に描くことで、より強いメッセージとして人々へ届くことになるのです。とはいえ、メッセージ性もなく単に面白いからという理由で描いている作品も多くあり、すべてに深い意味が込められているわけではないようです。

■ これまでの代表的な作品

ここから、これまで描かれたバンクシーの作品の一部をご紹介していきます。バンクシー自身は作品にタイトルをつけていないため、タイトルは正式のものではなくどこかの誰かが勝手につけたものです。

◎ Jesus Christ with Shopping Bags(Consumer Jesus)

本来イエス・キリストの誕生を祝う日であったはずのクリスマスが、商業主義に汚染されてしまったことを皮肉った作品です。はりつけにされたキリストの両手にはたくさんの買い物袋やプレゼントが。キリスト教徒の比率が少ない日本では、さらに変化して「恋人たちのイベント」のようになっていて本来の意味に関心を持つ人もあまりいないと思いますが、キリスト教国ではより考えさせられる作品なのかもしれません。

◎ Love is in the Air(Flower Thrower)

この絵はバンクシーの作品の中でもっとも有名なものの1つなので、見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。過激な活動をしていそうな風貌の青年が投げようとしているのは、武器ではなく花束。花束は愛の象徴であり、愛こそが争いを終わらせるために必要だと示唆しています。この絵が描かれているのは、イスラエルとパレスチナを分断している分離壁。イスラエルとパレスチナの争いに対するバンクシーのメッセージが込められています。

◎ Flying Balloons Girl

こちらの絵もイスラエルの分離壁に描かれた作品です。バンクシーの絵には風船を持った女の子が頻繁に描かれますが、女の子は「純粋さ」や「か弱さ」の象徴、風船は「希望」や「願望」を象徴していると考えられます。この絵では7つの風船によって少女が浮かび上がり、壁を越えようとしています。それは何を表しているのでしょうか?

◎ Anarchist and Mother(Punk Mum)

パッと見ただけでも違和感がすごい作品です。アナキズム(無政府主義)の旗を持ち、これからデモへと赴こうとしている息子に対して、母親は止めるでも叱るでもなく、登校する息子の制服の乱れを正すかのように顔に巻いたバンダナをチェックしています。ただ、一番の違和感は母親の大きすぎる愛情ではなく、それを素直に受け入れている息子のほうです。反抗期真っ盛りのような見た目に反して、マザコンの匂いを感じてしまいます。この作品からはバンクシーのどんなメッセージを感じられるでしょうか?足元にある弁当と水筒がさらに心をざわつかせます。

◎ Camera Man and Flower

キレイな花をうまく撮るために、その花を引き抜いているカメラマン。とても風刺のきいた絵ですよね。メディアが何かを伝えようとするあまりにその対象を傷つけてしまう、というのはよくある話です。そして、映像を見ているだけではそれに気付けません。しかし、現代は誰もがSNSで画像や動画を発信できる時代です。また、カメラに限らず、話を面白おかしくするために誰かを傷つけてしまうのも同じことですよね。私たちは自分自身がこのカメラマンのようになっていないか、省みてみる必要があるかもしれません。

◎ Naked Man Hanging from Window

人妻との不倫現場に、その人妻の旦那が帰って来てしまった、という状況でしょうか。なんだかどこかで聞いたことのある話ですね。裸で窓からぶら下がっている姿はなんとも滑稽ですね。この作品はバンクシーの生まれ故郷ブリストルに描かれています。内容が内容だけにすぐ消されるかと思いきや、住民が猛反対。97%の人が撤去に反対したため、現在でもそのままになっているそうです。

■ バンクシーを味わおう!

知れば知るほどハマってしまうバンクシーの作品。ご紹介したもの以外にもたくさんの作品があるので、ぜひ調べてみてください。バンクシー熱が上がってきている日本にもバンクシーが来てくれたら嬉しいですよね。違法行為なので「グラフィティアートを描いてほしい」とは決して口にできませんが…。イギリスへバンクシー作品を巡る旅へ行ってみるのも面白いかもしれませんね。

(著:nanapiユーザー・犬走 編集:nanapi編集部)