給料の未払いに暴力…それでも若者がブラックバイトを辞めない理由
 低賃金で過酷な労働のアルバイトはいま「ブラックバイト」と呼ばれ、その被害は増加の一途をたどっているという。

 2014年7月、「ブラック企業対策プロジェクト」が全国の大学生を対象としてブラックバイトに関するアンケートを行ったところ、以下のような被害が生じていることがわかった(一部抜粋)。

◆ブラックバイトアンケート

21.3% 希望していないシフトに入れられた
18.6% 労働条件を書面で渡されなかった
18.0% 実際の労働条件が、募集の際に提示されたものと違った
16.7% 準備や片づけの時間に賃金が支払われなかった
15.1% シフトや勤務日数、勤務時間を一方的に減らされた
14.2% 一日6時間以上働いても休憩時間がもらえなかった
14.1% 仕事が延びても残業代が時間通りに払われなかった
11.4% 店長など正社員から暴言・暴力・嫌がらせを受けた
10.0% 給与明細がもらえなかった
8.9% 就業規則がいつでも確認できるようになっていなかった
7.1% アルバイトの上司・先輩から暴言・暴力・嫌がらせを受けた
6.9% ミスした分の罰金を支払わされた
6.4% 残業代が割り増し賃金ではなかった
3.5% 賃金が毎月決まった日に払われなかった
3.5% 賃金が毎月決まった日に払われなかった
2.8% 商品やサービスの買い取りを強要された
1.4% 仕事上のケガの治療費を自己負担させられた
1.2% 賃金が一方的に引き下げられた

※「ブラック企業対策プロジェクト」のブラックバイト問題に関するチームが実施した「学生アルバイト全国調査」のアンケート結果。国立大学3校、私立大学20校の計23校の学生に対するもので、回答数は2524件。

 これをもとに、ブラックバイトに詳しい識者らが解説する。

◆行き着く先は日本経済の破壊

「低賃金であるにもかかわらず、正規雇用労働者並みの義務やノルマ、異常な長時間労働は、これまでも非正規労働者が直面してきた問題ですが、最近は学生たちが、学業に支障をきたすなど『学生であることを尊重されない』バイトが多くなっています」。そう語るのは久野由詠弁護士。

「『ブラックバイト』は学生の教育を受ける権利を侵害して教育システム・人材育成システムを破壊するもので、行き着く先は日本経済の破壊だといえます」(久野弁護士)

 実際、学生の生活はブラックバイトのために破綻している。前出の神部氏も、こう指摘する。「例えば、バイトの面接で、『週に5〜6日の勤務で大丈夫だよね』と言われたら、NOとは言えません。契約書も何も結ばないから、テスト前であってもシフトに入れられて休ませてもらえない。実際に成績が落ちる、なかには退学や休学にまで追い詰められた人もいます」。

◆大学の奨学金が高すぎて辞められない…

 そんなに大変ならば、なぜ学生たちはバイトを辞めないのか。「首都圏青年ユニオン」で委員長を務める神部氏は、「日本の大学の学費は世界一高額で、必然的に奨学金も高いからだ」と語る。

「卒業時には最低でも300万円、大学院まで行けば1000万円もの借金になるから、できるだけ奨学金の世話にならないためにバイトをするんです。ところがそのアルバイトで学業に支障が出るという悪循環にハマっているのが今の大学生です」(神部氏)

 学生の労働組合を立ち上げた青木氏も学生の生活苦を指摘する。

「学費やその他の費用として、大体月5万〜10万円くらいは稼がないといけない。しかも授業に出ることを優先すると、バイト探しで本当に苦労します。特に3年生や4年生になると、企業側も敬遠しますから、一旦働き始めたバイト先をなかなか辞められない」

◆奨学金返済の延滞金が怖い

「戦後、学費が急激に高騰したのに反比例して、’90年代以降世帯収入は減少の一途を辿りました。その結果として仕送り額も減少し、’13年に首都圏の私立大学を中心にした調査では、学生が一日に使えるお金は約900円程度というデータもあるほどです。