by Michael Coghlan

2008年に論文に登場して、2009年に最初のクライアントが誕生した仮想通貨「Bitcoin(ビットコイン)」は、専用プログラムを用いて「採掘(マイニング)」することで新しいコインを得られるという仕組みなので、組織化された採掘集団がマイニングに殺到しました。2016年現在、「採掘」は7割を中国が担っており、もはやコミュニティ運営が正常に行えなくなっていて、コアの開発を担当していた人物が「ビットコインという実験は失敗だった」と表明する事態になっています。

BBC - Future - We looked inside a secret Chinese bitcoin mine

http://www.bbc.com/future/story/20160504-we-looked-inside-a-secret-chinese-bitcoin-mine



ビットコインは総量が2100万BTCと設定されています。採掘にはminerと呼ばれるソフトが用いられ、採掘する人(マイナー)が少なければ短時間でコインが手に入りますが、マイナーが多くなると採掘が困難になるように、自動的に調節されています。

少しでも採掘の効率を上げようと考えると、処理速度を向上させる必要があります。そこで、大規模なマイニング集団の中には、建物全体を用いて水冷システムを組み上げるものが登場。

Bitcoinのマイニング施設に建物全体を使った水冷システムが登場 - GIGAZINE



2014年10月時点で中国・大連市に採掘施設を所有するグループは、合計6つの施設で月間1億8000万円を稼いでいました。

1ヶ月で約1億8000万円を仮想通貨で稼ぎ出す巨大施設に潜入、知られざるその実態とは? - GIGAZINE



BBCは、チャンドラー・クオ氏というビットコイン起業家のガイドを受けて、最新の施設を見せてもらったそうです。現在、中国政府のビットコインに対する姿勢が不明瞭なため、施設の所在地は明かせないという条件ながらも、酸素ボンベを持参する必要があるような山地だったとのこと。

クオ氏によると、家族が牛を育てる牧場を経営していて、お金が貯まったのでビットコインへの投資を決めたそうです。このとき、1BTCの価値は450ドル(約5万円)で、採掘用マシンを動かし続けることで1日に50BTCが掘り出せます。

クオ氏が事業を始めたのは2014年。その当時、世界のビットコイン採掘のうち中国が占めていたのは40%ほどでしたが、2016年現在は70%にまで増加しており、とても重要な位置を占めているとのこと。クオ氏はすでに2つの施設を所有していますが、現在もう1つ新しい施設を建設しており、そこが完成すれば「世界の3割の採掘を担うことになる」とのこと。

さらには、スマートフォンやタブレットで採掘できるアプリも開発中だというクオ氏は、「ビットコインは私にとって『自由』です。誰とでも、どこででも使えて、国が所有するのではなく、すでに国境を越えて使われています。ビットコインは『みんな』のものなのです」と語りました。

ただし、ビットコインについては元開発者のマイク・ハーン氏が「実験は失敗だった」と表明し、所有していたビットコインをすべて処分しています。

The resolution of the Bitcoin experiment - Medium

https://medium.com/@octskyward/the-resolution-of-the-bitcoin-experiment-dabb30201f7



Bitcoinの約束は無に帰したのか? | TechCrunch Japan

http://jp.techcrunch.com/2016/01/20/20160119is-bitcoins-promise-going-up-in-smoke/

「ビットコインは実験として行っている」と常々語ってきたハーン氏は、ビットコインがはじめから失敗するかもしれないことは分かっていたものの、こうして失敗が不可避の状況となったことを悲しんでいます。

「失敗が不可避」となった理由としてハーン氏が挙げたのは「コミュニティの失敗」。システムは一握りの人間によってコントロールされた状態となっていて、さらに悪いことに、ネットワークが技術的な崩壊の瀬戸際にあるとのこと。

ハーン氏は

・持っているお金を移動させられない

・高額な手数料はあっという間にさらに値上がりして予測不可能

・買い手がお店から出てから、ボタン1つで決済を取り消せる

・大量の『未処理』と、決済のドタキャンがある

・これが中国のコントロール下にある

・会社、そして関わる人々が『内戦状態」にある

……という、こんな決済ネットワークを誰が使いたいのかと痛烈に批判しました。特に、中国のマイナーたちがマイニングの70%を握っている現状は、まるで「安いホテルのWi-Fi」で全世界を接続しているように速度が遅くなっていると表現。

さらに、ビットコインの送受信・売買ができるスタートアップとして知られるCoinbaseが公式サイトや公式コミュニティからBANされるなど、コミュニティ自体ももはや正気だとは思えない状態だとのこと。

とはいえ、この「失敗」発言はあくまでハーン氏の見方。ビットコインコア開発者のギャビン・アンドレセン氏は、「ビットコイン・クライシスだ」というハーン氏を、あまりにも悲観的すぎると見ているようです。



P2Pネットワークであるビットコインは、「サーバーがダウンしたので終了」となることはありません。これだけ広がった仮想通貨は、これからどういった方向へ向かっていくのでしょうか……。