【女性必読】ストーカーから身を守るために。元プロストーカーが教える「キケンな思考」3つ

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芸能活動をしている女性に付きまといを繰り返し、ついには刃物で襲いかかり20ヶ所以上を刺したという痛ましい事件が世間を騒がせています。犯人の男の執拗なストーキング行為、SNSに書き込んだ文面なども報道され、その異常性が浮き彫りになってきました。

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常識ではありえない思考をする「ストーカー」という存在。彼らの目に、自分や恋愛相手(女性)をとりまく世界はどのように映っているのでしょうか。

筆者がいた探偵業界は、あらゆるテクニックを駆使して対象者に迫る、いわば「職業ストーカー」でした。また、たびたびストーカー案件にも関わり、多くのストーカーと接してきました。そんなプロストーカーの立場からストーカーの心理を読み解き、付きまとわれた女性が絶対にしてはならない“キケンな思考”を紹介します。

(注:本記事でいう「ストーカー」は、傷害事件を起こすレベルのきわめて重篤な人間を指します。また、すべての事例に合致するとは限らないことをご了承ください)

キケンな思考-1:冷静に話せばストーカー行為をやめてくれるはず

ストーカーも同じ言葉が通じる人間なんだから、話し合えば解決するはず‥‥この考えはキケンです。まず知っておいてほしいのは、ストーカーは脳内に「独自の世界観」が構築されているということです。

彼の世界観では、自分とあなた(被害女性)は必ず結ばれる運命になっています。またはすでに結ばれています。あなたが交際をOKしたかどうかは関係ありません。そして、二人の間を裂こうとするものはすべて敵、あるいは乗り越えるべきハードルと認識されます。

例を挙げましょう。付きまとい行為を見かねた第三者が「おい、あの子はもう彼氏がいるんだからやめろよ」と諭したとします。しかしストーカーは「悪い男に無理やり付き合わされているんだ。心の中では僕の助けを待っているに違いない」と考え、付きまといをやめません。“自分の世界観”と矛盾しないように、現実のほうが歪められてしまうのです。

あなた本人が話し合おうとすれば「僕との交際を真剣に考えてくれている証拠だ」、誰かが注意すれば「二人の仲を嫉妬しているからこんなことを言うんだ」、すでに交際相手がいれば「こいつは彼女を洗脳している卑劣な敵だ」などなど、事実や正論はすべてストーカーの世界観によって書き換えられます。

ストーカーと正常な人間の話が噛み合わない、説得が通じない根本的な原因はここにあります。

キケンな思考-2:まさか法律を破ってまでストーカーして来ないでしょ

ストーカーでもいい年した大人なんだから、まさか逮捕されるような犯罪行為まではしないはず……この考えもキケンです。

ストーカーにとって法律や社会的ルールは、足かせ程度にはなりますが、「二人は絶対に結ばれる」という絶対的ルールの前では大きな障害になりません。

だから彼らは何だってやります。しつこくメールや電話で迫り、SNSで付きまとい、帰宅時を待ち伏せし、個人情報を得るため家から出された生ゴミも平気で漁り、公安委員会からの禁止命令すら踏み越え、最悪の場合は殺人も犯します。法を破ることに罪悪感はなく、反省もしません。

興味深いのは、彼らはストーカー行為をしている時以外では、ごく普通に社会生活を送っている場合が多いということです。会社経営者や大手金融マンがストーカーだったという実例もあります。

普段は法に則って正しく暮らし、女性へ付きまとう時だけ「法律を超越した存在」に変貌するのです。なぜこのような変わり身が可能なのか、筆者もいまだに理解できてはいません……。

いずれにしても、法律の外にいるストーカーには、法律がある社会で生まれ育った一般人の常識が通用しないと考えてください。

キケンな思考-3:そこまで神経質にストーカー対策しなくても良いんじゃない?

心配性な両親が「一刻も早く引っ越ししてストーカーから逃げろ。バイトもやめろ。転居先は誰にも教えるな」なんて言うけど、そんな対策までしなくても大丈夫でしょ……実は、この考えが一番キケンです。

一般的な犯罪者と、ストーカーの違いは何でしょうか?

たとえば振り込め詐欺や空き巣は、たくさんのターゲットを短期間で狙います。「100軒のうち1軒からでもカネを取れればいいや」という、いわば“1/100”の方針です。だから少し対策しておけば「もっと狙いやすいカモを探そう」と離れていってくれます。ガードが堅い相手にこだわって時間を浪費したくないのです。

しかしストーカーにとって、女性と呼べるのは世界中であなた一人です。絶対に替えのきかない“1/1”な存在なのです。

だから彼らは財産をなげうってでも、他人から邪魔されても、どれだけ時間を使っても、自分の全存在を賭けてあなたに付きまといます。生ぬるい対策では効果がないばかりか、ストーカーを逆上させて事態を悪化させることにもなりかねません。

ストーカーに特有な“1/1の心理”。これが、今回の記事で一番伝えたかったことです。この恐ろしさを被害者となる女性が、取り締まる警察が、そして法整備する政治家が正しく理解しないかぎり、また惨劇が繰り返されるのではないかと不安になります。