あの頃、俺たちを熱くした「昭和のオモチャ」をオトナ買い(落札)して振り返るシリーズ連載。「野球盤」「チクタクバンバン」と続いて、今回ご紹介する懐かしのオモチャは、ドライビングシミュレーターの「ドライビングターボ」。唸りを上げるエンジン音、そしてトップギアのあの加速が、33年ぶりに甦る!

自宅でスーパーカーを運転「ドライビングターボ」

映像や擬似的に再現された環境で仮想体験する。いわゆるシミューレーション・シミュレーターと呼ばれる試みがあります。医療やスポーツ、その他さまざまな分野で利用されていますが、ホビーに関してもまた人気のあるジャンルです。最近のシミュレーターは、3DCGやVR(ヴァーチャル・リアリティ)技術を利用して、本当に現実のものと比べても遜色のないレベルのものが開発されています。

今回のお話に例えればレースゲーム。

最近のレースゲームの中には、どちらかというとシミュレーター要素が追求されたものも。たとえばグランツーリスモシリーズでは、実際の車のエンジン音や排気音を収録し、挙動に関しても綿密に計算されて、実写と同じように動きます。もちろん見た目も最新の3DCGで実写と見間違うかのようなクオリテイに。もうだいたい現実の車が画面の向こうに存在するわけです。

あとは実際に乗り込めるようなVR技術や装置が登場すれば、自宅に居ながら憧れのスーパーカーで、パツキンのイカしたおねえちゃんを隣に乗せてワイハのビーチサイドをかっ飛ばせるわけです。イカスぜ。

こんなことを言うと、今や大人の妄想(空想)でしかありませんが、子供の頃は、特に男の子であれば誰もが夢見たはずなのです。「ぼくも、イカした、スーパーカーを運転したい」

当時、男の子たちのピュアな憧れを叶えてくれたのが、1983年、TOMYから発売された「ドライビングターボ」です。画面に映し出された車を操作し、町をかっ飛ばすという、当時として本格的(?)ドライビングシミュレーター。セガの名作レースゲーム「アウトラン」の登場が1986年だったことから、その3年も前にドライビングシミュレーターというジャンルを提案したということになります。

今回落札したドライビングターボは、箱がボロボロですが、なんと「完動品」。連載3回めにして、やっと完動品にあたりました! しかし、野球盤の例もありますし、実際に動かしてみるまでは信じられません。早速試してみましょう。

次ページ>>33年落ちの中古車、しかし程度は良好

33年落ちの中古車、しかし程度は良好

箱から出して、あまりの程度の良さに驚きました。使用感こそあれど、33年前のオモチャとは思えません。フロントなんて思わずワックスをかけたいくらいです。これは快適なドライブが期待できそうです。早速電池を入れてみましょう。このゲームへの期待感の高さから……、

当時のセオリーどおり、マンガン電池を用意しました。単一4本というの燃費の悪さはさすがの昭和車です。いざ、電池をセットしてキーを回してみます……。

もはや希少なスーパーカーを見てくれよ!

軽快(?)なエンジン音と共に、画面が灯りました。ひょっとしたらバックライト(ランプ)くらい切れているかも? と、修理も覚悟していただけに嬉しい誤算です。

遊び方は簡単。奥から画面が流れてくるので、事故らないようにハンドルで手前の赤い自車を操作してドライブを楽しみます。ギアは0〜4とトップギアである「TURBO」。ギアを上げると車の速度(背景が流れてくる速度)が上がります。ちなみに、スーパーカーなので左ハンドル仕様です。

ギアを上げるとタコメーターの回転数や速度メーターも上がります。最近のオモチャであれば全てLEDや液晶で表現されるようなギミックですが、ギアと連動して背面のプラ板が動いて数字やバーが表示されるというしくみ。アナログならではの工夫と味わいがあります。

それでは実際のドライビングシーンをどうぞ。

自宅のリビングでも、気分はスーパーカーオーナー。

時たま画面を動かすベルトが不調で動作が怪しい時もありましたが、一度分解してちゃんとメンテナンスしてあげれば、これからも元気に遊べそうです。

次ページ>>決して子供だましじゃないドライビングターボ

ドライビングターボの凄い所は、ただ背景が動くだけの子供だましのオモチャではありません。ちゃんとしたレースシミュレーターであって、レースゲーム。ゲーム要素が盛り込まれているのです。障害物に当たったりして「事故る」と、画面は流れたままですが、距離メーター(TRIP)のカウントが止まります。そう、いわゆる距離メーターがスコアとなっているんです。

TURBOに速度を上げた時は驚くほどの速度が出ます。その中で障害物にぶつからないように操作していくといった、絶妙なバランス。こういったゲームバランスと、各種メーターが連動したヴィジュアル。表現手法は限られていながらも、スーパーカーを運転するという楽しさと臨場感、そしてゲーム性。子供を楽しませるための工夫が詰め込まれています。昭和のオモチャ、侮れません。

デジタルネイティブ世代の娘も楽しんでいました。パツキンのイカしたおねえちゃんを乗せてスーパーカーでドライブする妄想は叶いませんでしたが、こっちのほうが今は不思議と嬉しく感じます。ただし、この車の所有権は君じゃなくて、パパにあるということは覚えておいて欲しい。オーケイ?

2016年、現在のドライビングターボは?

タカラトミーから「僕のカーナビドライブ」というドライビングターボの後継機が発売されています。なんと音声ガイド搭載で、ETCカードスロットもあって、単にかっ飛ばすだけじゃなくて、目的地へと到着するようなゲームに。これはこれでおもしろそうですね。ただ、右ハンドルなのがいただけません。スーパーカーじゃないと……ねぇ?

あのおもちゃのその後

前々回レビューした「ジャイアンツ野球盤BM型」、前回レビューした「チクタクバンバン」共にメルカリに出品中。未だに「いいね!」もコメントもありません。Why……。

 

文/小暮ひさのり
ガジェット類が大好物。雑誌やWebで執筆しているテクニカルライター。群馬県在住で農業が趣味であるため「兼業ライター」と揶揄されることもあるが、本人的には農業1割、執筆9割。

出典元:まぐまぐニュース!