子どもには好きなものを飲ませるのがいちばん?

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下痢や嘔吐を引き起こす胃腸炎は、幼児がよくかかる病気の1つだ。下痢で水分が失われるため脱水症状にならないよう水分補給することが大切だが、その際、電解質(イオン)を含んだ経口補水液を勧められることが多い。

ところが、重症の胃腸炎でない限り、2倍に薄めたリンゴジュースの方が水分補給に優れた効果を発揮することが、カナダ・カルガリー大学の研究でわかった。2016年4月30日の米医師会誌「JAMA」(電子版)に発表された。

世界の医師団体は「経口補水液」を推奨するが...

脱水症状を防ぐには、食塩などが溶けこんだ電解質を含む水分の補給が重要とされる。電解質が細胞の浸透圧を調節して水分が吸収されやすくするためだ。最近はスポーツブームを反映し、食塩とブドウ糖を混合した経口補水液が多く市販されている。「オーエスワン」(大塚製薬)「アクアサポート」(明治)「Newからだ浸透補水液」(武田薬品)などだ。

研究チームによると、米国小児科学会をはじめ各国の専門医団体が、胃腸炎の子どもが水分補給をする場合には経口補水液の摂取を推奨しており、世界共通の認識になっているという。しかし、こうした推奨は、胃腸炎になると重度の脱水症状になりやすい低所得国など、衛生環境が悪い地域での研究が根拠になっていると指摘。そして、衛生環境がよく、重度の脱水症状になりにくい先進国でも経口補水液が最も優れているのかどうかを検証することにした。

研究の対象は、下痢や嘔吐など胃腸炎の症状でトロント市の小児病院救急外来を受診した生後6か月〜5歳の子ども約650人。ただし、脱水症状が軽度の子どものみで、重症の胃腸炎の子どもは対象に選ばなかった。約650人を治療する際、次の2つのグループに分けた。

(1)病院にいる間は2倍に薄めたリンゴジュースを飲ませ、帰宅後は好きな飲み物(ジュース牛乳、スポーツドリンクなど)を飲ませる。

(2)病院にいる間も帰宅後も、電解質を含む経口補水液を飲ませる。

ウイルス感染症など重い場合は医師と相談を

その結果、入院や点滴での水分補給が必要になったり、体重が減ったりするなど、治療がうまくいかなくなる割合が、(1)では17%だったのに対し、(2)では25%だった。つまり、「リンゴジュース+好きな飲み物」の方が「経口補水液」より脱水症状を防ぐなどの治療効果が高かったのだ。

研究チームは「経口補水液はジュースより高いし、フレーバーで味付けしているとはいえ、子どもには飲みにくく、飲み続けるのは難しい。軽度の胃腸炎で脱水症状が重くない先進国の子どもには、リンゴジュースなど好きなものを飲ませることが有効なのではないか」とコメントしている。

今回の研究は、あくまで軽い胃腸炎のケースだ。ウイルス感染症など重い場合は医師と相談した方がよさそうだ。