2016年の低質な暮らし

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孤独を味わうことで、人は自分に厳しく、他人に優しくなれる。いずれにせよ、人格が磨かれる。 by ニーチェ


一瞬もムダにしない、目覚めたら即行動の「攻撃的モーニング」



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30歳会社員サカモトさんの朝は早い。

むしろ夜と朝がシームレスにつながっていると言っても過言ではない。

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スマートフォンのタイマーで目覚めたら、そのままアプリをツイッターに切り替え。

昨晩チェックしていた複数のツイッター炎上案件の最新状況を確認し、即座に攻めどころをマークする。

そして捨て垢に切り替えてリプライ攻撃を開始。

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まさにスティーブ・ジョブズが言うところの「選択と集中」だ。

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「どうだ! 俺の下書きリストから繰り出される圧倒的リプライ。まるで無敵艦隊。どんなもんだい!」

熱狂の絶叫が朝日に溶けていく。

一滴もムダにしない、即エナジーチャージの「マイ・エコスタイル」



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人は寝ている間に約200mlもの水分を消費するという。

ネットもリアルも重視するサカモトさんは、自らのフィジカルにも気を使う。

Twitterを使った攻撃的モーニングと同時並行で水分補給も怠らないのだ。

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昨晩飲みかけで放置したチューハイの匂いをチェック。

熟成香を楽しんだら一瞬で水分をチャージする。これが今の気分なのだ。

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炎上アカウントがあわてている様子と、さわやかな柑橘の香りが、充実の朝を演出する。

真のライフスタイルは、表層的な消費行動ではない



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そして切り替えが早いのがサカモトさんのアドバンス。

攻めのツイートによるアウトプット後は、すかさずエネルギーそしてインフォメーションのインプットに集中する。

ベッドに横たわり、シュークリームをくわえながら、タブレット端末で2ちゃんまとめをチェック。

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重力でクリームが徐々に口の中に入っていくため、無駄に咀嚼や吸引を行う必要がない、真のミニマリスト・スタイルだ。

そう、表層的なミニマリズムは、スタイルの消費行動でしかない。生命活動の本質をこそミニマルにする。それがサカモトさんなのだ。

もちろん情報についても同様。有能な職人がオーガナイズした、ノイズのないコンパクトな情報をダイレクトにインプットする。

もしかしたら、これが2016年の上質な情報収集法なのかもしれない…。

イレギュラーなハプニングも楽しみに変える「マイ定番スタイル」



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真のミニマリスト・スタイルで朝一のインプットを完了したサカモトさん。

だが、あらためてスマホを手に取り愕然とする。

「なん…だ…? この待ち受けは!」

なんとスマホの壁紙が元カノの写真になっているのだ。

これは昨晩酩酊して、元カノのツイッターをチェックして手に入れた写真を設定したということだろう。

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「なにやってんだクソがー!!!」

あふれだす怒りというピュアなエネルギー。そのベクトルが向かう先は自分自身。エネルギーを発露し、自分でそれを食らう、この精神的葛藤。あくなき向上心!!

イレギュラーな失敗に動揺しつつも、根本は動じないのがサカモトさんでもある。

その秘密は三島由紀夫が「習慣という怪物」と呼んだそれだ。

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村上春樹が毎日ランニングをするように、スティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着ていたように、サカモトさんにも自分のベースを作るための習慣がある。

それは酒を片手に、応援しているアイドルのDVDを観ることだ。

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そして大泣きする。

ナチュラルにリベラルなサカモトさんは“男が泣くことは恥ずかしいことだ”というマチズモにとらわれない。

むしろこれはプライマル・スクリーム療法に近い。



そう、精神の解放なのだ。そして他者に感情移入するという、思いやりと想像力を鍛える「行」でもある。

時は満ちた。何かを始めるためには、何かを捨てなくてはならない



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サカモトさんは決して自意識が強すぎる自信過剰野郎などではない。そう、完璧な絶望が存在しないように、完璧なサカモトさんなど存在しないのだ。

「今日から俺は変わる…」

涙で目を腫らしたサカモトさんは、無意識にひとりごとを言っていた。

己のスタイルを確立し、ストイックにその道を歩んできたつもりのサカモトさんではあるが、それでも漠然とこのままではいけないという不安もあったのだろう…。

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「身を捨ててこそ、浮かぶ瀬も、あれ!」

そう、何かを始めるためには、何かを終わらせなければならないときがある。

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サカモトさんは強い決意と清々しい心を胸に抱え、意を決する。

今日の仕事はサボり、新しい自分のための準備に丸一日を贅沢に使ってみよう。

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「うっわー、すげえ良い天気!」

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まずはこの世界を全部受け止めたいという心の叫びに従い、外へ飛び出したサカモトさん。

太陽の光に生の実感を覚えながら、一歩ずつ自らの足で歩みを進める。

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「腹が減っては戦はできぬ」

江戸っ子がそばを手繰るように、サクッとやきとり屋で立ち飲み。

焼き上がったやきとりを公園へテイクアウトする。

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大自然の中で「食」に感謝する。まずはこうした根源的な営みから始めてみたいのだ。

最大限ルーツに立ち返り、ゼロからはじめよう。

これが今のサカモトさんの気合いの表れなのだろう。

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「最高〜!!」と叫びながらも、スマホではもちろん炎上案件をチェックする。

そして日課にしている元カノのツイッターの確認もおこたらない。

すぐそこではストリートミュージシャンが音楽を奏で、カップルが散歩をしている。昼寝に興じる浮浪者の姿もある。



「みんな自由だ…」

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大きな進化を前にした今だから、一歩ずつ着実に進む



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………あれ?

夕方?

そうだ、英気を養うために昼寝をしたんだった。1時間程度のつもりが、もう19時じゃん…。

「人は何かをやり残した気がするから、夜の街に繰り出すのかもしれないな…」



思わず長い昼寝にふけってしまったサカモトさんだが、変わろうという意識を胸に、失った何かを取り戻そうと夜の街に繰り出すことにした。

万物は流転する。ストリートをサバイブする「サグ・ライフ」術



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財布に金がないことに気付いたサカモトさんだが、決して慌てない。

「この世界を支配するエントロピーの法則、それ自体が自転車操業なんだから、経済も人生も自転車操業であることが“自然”なんですよ…フフ」

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サカモトさんは大手古本屋チェーンで、ゲームソフト数本をクレジットカードにて購入。

別のゲーム屋に売り現金をつくることに。



これは彼が「シティ・サバイブ・テクニック」と呼ぶ“処世術”のひとつなのだ。

あれから僕たちは何かを…



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パンパンになった財布をポケットに入れ、飲みに繰り出したサカモトさん。

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「さあ、今日はどこから始めようか!」思わず笑みがこぼれる。

だが、その微笑みは一瞬で凍りついてしまう。

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「なんだこれ…」

スマホの画面には見慣れぬ表示が。

なんと元カノのツイッターにブロックされていたのだ。

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