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DVの最新事情−払われない慰謝料

2005年05月16日08時30分 / 提供:PJ

pj
DV(家庭内暴力)のうちでも、男性がパートナーの女性を加害する場合が多い「配偶者暴力」を特集するシリーズ。第2回の今回は、DVで離婚できた場合の慰謝料について、実情を紹介する。

和解勧告する裁判所 
 全国各地にある地方裁判所。その小法廷では、今日も慰謝料裁判が行われている。DV離婚の慰謝料裁判も行われている。DVの被害女性は、精神的に参っていて、自分が離婚したことの正当性に疑問を持っている。だからこそ裁判所で自分の正当性を認めて欲しいと必死だ。

 ところが、裁判所は、判決を出さずに和解を勧めることが多い。裁判に関与したことがなければわからないことだが、和解とは、文字通りの「和んでうち解ける」という意味ではない。原告と被告、どちらの善悪も正否もない。双方の言い分から金額を折り合わせるだけのことだ。意外にもDV離婚の慰謝料裁判には和解はつきものなのだ。しかも、慰謝料という名目の和解金が払われることは極端に少ない。大半の和解内容は「DVで離婚しても慰謝料は0」。驚かれるかもしれないが、これが裁判の現状だ。

払われない慰謝料
 「DVで離婚して慰謝料が0」という解決が、被害女性に多大なショックを与えるだろうことは容易に想像がつく。一般の離婚でさえ慰謝料が0ということはありえないのだ。まして・・・と嘆く。しかし実は、DV離婚では、DV加害者が相手であるからこそ慰謝料を勝ち取ることがむつかしいのだ。

 DV加害者には、大きな特徴がある。それは、「世間には隠すような恥ずべき事をしている」という認識がありながら、同時に、「妻(または被害者)のしつけのために、止むを得なく暴力を行使しているのであって、自分は悪くない」と信じていることだ。この考え方の当然の帰結として、加害者は慰謝料という言葉を非常に嫌う。「自分は悪い事をしていない」と思い込んでいるのだから、他人に「慰謝料を払った」と説明することなど、恥だとしか思っていないのだ。そこで、慰謝料という言葉を使った判決や和解文に対し、非常に抵抗する。

罰せられない加害者
 当事者しか知らない世界でなにが起きたのかの証拠もない。加えて加害者は「慰謝料は絶対に払わない。控訴も辞さない」などと言う。「慰謝料という名目を含まなければ、各種の損失費用などは払ってやっても良い」とも言う。裁判官も被害女性の精神的状況を配慮して、早めに決着をつけてあげようと思うのかもしれない。加害男性の言葉を容れないと被害者が和解により受け取れる金額は減るだろう、と判断するのかもしれない。

 しかし、裁判官の温情の結果は、和解金または解決金というあいまいな名目で現金が支払われるだけだ。あるDV被害者は嘆く。「前夫はたかだかの和解金の支払いで済ませ、名目上全く汚れることなく、自分のいる社会にそのまま居てのうのうと暮らしている。私はふるさとも家も友人も捨てて出てきた。前夫に住所を知られないために、あらゆる手段を尽くした。かけたお金も、した苦労も莫大だ。なんでこんなに不公平な思いをしなければならないのか・・・なぜ、前夫は罰せられないのか?」

 裁判官は、双方の折り合うところを探すだけで、加害者の悪いところを指摘することさえしない。「大岡裁き」から程遠い、この和解金を受け取るためだけに、被害者がどれほどの苦労をしたのか、裁判官には知る由もない。裁判官にこの被害者の声が届く日は来るのだろうか。【了】

DV特集1回目記事


※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 広觜志保子

関連ワード:
ドメスティックバイオレンス  離婚  家庭内暴力  
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