PONANZAが連勝で第1電王戦終了。第2期叡王戦に羽生名人がエントリーで、いよいよコンピューターとの対決なるのか!?

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比叡山延暦寺で行なわれていた第1期電王戦第2局は、118手まででPONANZAが勝ち、2連勝して幕を閉じました。第1局よりは1日目終了時点で山崎叡王にもまだ頑張れる状態でしたが、終盤PONANZAの攻めに山崎叡王は防戦一方となり投了。PONANZAはこれでプロ棋士に対して負けなしの5連勝しています。第2期叡王戦では、羽生善治名人がエントリーしたことで、夢のコンピューターとの対決が見られるかもしれません。

▲朝の延暦寺東塔。今日も快晴で、団体客で賑わっていました。

2日目は、前日の手順を再現することから始まります。第1局のときは少し新電王手さんの反応が悪い部分が有りましたが、今回はかなりスムーズに進行。そして封じ手が開封されて51手目は☗4九玉でした。これは予想外の手でした。

▲封じ手を読み上げたところ。

その後☖5三銀に☗4六歩と進みましたが、評価値は山崎叡王の-500超え。再開前より分が悪くなってきています。持ち時間も開始からすでに20分消費してしまいました。

午前中は、検討陣が山崎叡王が長引くような指し手はないのか検討。なかなか評価値が挽回することはありませんが、67手目の☗1二歩がコンピューターに評判が良くなく、さらに評価を落とします。

ただ、その後69手目☗1三歩に対しPONANZAの☖同玉が、評価室のコンピューターソフトたちには悪手と見たようで、山崎叡王が-300程度まで挽回しました。コンピュター陣は☖同香を一押しにしていたようです。

ただ、その次の山崎叡王の☗6五歩が悪手らしく、山崎叡王は一気に-900以上の評価に。かなり分が悪くなってしまいました。

PONANZAは☗6五歩に7分考えて昼食休憩に。コンピューターソフト側で休憩に入るのは珍しい。休憩中は指さないようになっています。

昼食休憩後、これまでトラブルフリーだった新電王手さんでしたが、指そうとしたところで止まってしまうトラブルに。2回リセットをかけて動作を試みましたが、結局回復せず、中断して修理することに。デンソーの澤田さんの話によると、カメラの通信部分で異常が発生してうまく撮影できなかったとのこと。一度撮影して駒の状態を見て掴む位置の補正をかけているため、動作がストップしたとのことです。

▲新電王手さんがストップしてしまい、中断して調整に入るスタッフ。

約20分かかって復活。再開され、☖6五同桂とPONANZAが指した。その直後☗同銀に☖2二玉でまた電王手さんが反応せず。しばらくして動作しましたが、今度は時計がきちんと動作しないため、ふたたび中断の処置がとられました。

▲LEDライトをつけてカメラで撮影するのだが、うまく撮影できずに止まったようだ。撮影は位置を微調整するため。

14時7分に再開しましたが、その間は時計が止まっていたため、そのぶん山崎叡王にとっては得になりました。ただ評価値的にはどんどん、着実にPONAZAの術中にはまっている感じで進み、山崎叡王の-1000前後を示しています。

14時50分ごろ、78手目☖7九銀打ちからPONANZAの攻めが続きます。山崎叡王は防戦一方になり、評価値も厳しい状況。

84手目の☖5六歩に対して山崎叡王が長考。15時20分すぎにとうとう山崎叡王の持ち時間が1時間を切ってしまいました。それに対してPONANZAはまだ3時間55分も残っています。考える時間が短くても強いPONANZA。

35分考えて☗1三歩。さきほどはこの手に☖同玉としたが、今回は☖同香とする。この時点での評価は-1200前後。解説陣もこの時点でなんとか山崎叡王に光明を見いだせないかと検討するもなかなか厳しく、控室もなかなかいい手が見つからない。玉形の差が終盤に響いているようだ。

▲☖1三玉と歩を取った場面。検討していたほかのコンピューターは香車押しだった。

その後、敵陣を攻めようと山崎叡王が頑張るも、解説陣もこの時点で白旗を上げた状態で、17時過ぎに山崎叡王が評価値-3000を超え。PONANZAに詰みが見つかったようで、ノータイムで差し出すと、山崎叡王もノータイムで差し替えして17時15分に投了しました。

PONANZA開発者山本一成氏

途中疑問手もありましたが、なんとか叡王に勝てて感無量です。

山崎叡王

読み筋を外してしまうと脇道にそれてしまういつもの癖が出てしまった。素直にいったほうがマシだったかなと、後悔しつつどの手が辛抱できる手か考えて指していた。最後も耐えられるかと思ったが、読んだらダメだと分かった。先手だったので主導権を握る戦いにしたかったが、握れなかったのは自分の力のないところ。言い訳には出来ない。

第1期 電王戦 第2局の棋譜





第2期叡王戦に羽生善治名人がエントリー



最後に、特報が入ってきた。電王戦を戦うプロ棋士を決める第2期叡王戦が今年も始まりますが、羽生善治名人がエントリーされていることがわかりました。トーナメン制なので、1敗もできないのですが、もしも勝ち進んで12月の決勝戦を戦って優勝となれば、全人類が待ち望んだコンピューター対羽生名人の対局が見られることになります。まだ対決が決まったわけではないのですが、もう頭のなかは対決する絵しか浮かびません。そうなったら、もう電王戦始まって以来の大注目となることでしょう。羽生名人は、現時点で4冠なのでかなり厳しいスケジュールになりますが、期待せずにいられません。ちなみに、渡辺竜王は出場しません。筆者も、ちょっと興奮してしまいました。