「1時間で会議を終わらせる」ための単純で簡単な4つの方法
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第6回】

「世の中の会議という会議が、会議の目的を果たしていない」と感じている人は、とても多いに違いない。所属する企業や団体においても、地域のコミュニティにおいても、はたまた議会においても、さまざまな会議が行われているが、紛糾して結論に至ることができなかったり、表面的には合意しているようだが本音ではコミットしていなかったり、会議は形式的なもので、実は別のところで物事が決定してしまっている例が実に多い。

 一定時間内に合意形成することが会議の目的であるはずが、それができていないどころか、このような紛糾や見せかけの合意や形式的な会議に慣れることこそが、社会人として成熟することだという間違った定説さえ生まれている。

 分解スキル・反復演習型の能力開発プログラムを実施するたびに、参加者に「会議において、一定時間内に合意形成できているか」と問うと、毎回、ほとんどの人が「できていない」と答える。はたして、一定時間内に合意形成することは可能なのだろうか。

 20年来、演習を繰り返しながら、さまざまな方法を演習して、実際のビジネスの場面で活用いただいてきたが、私の演習経験と、その実践での実例をふまえると、実はとても単純で簡単なスキルを身に付けるだけで、ファシリテーターが会議において、合意形成できる確度が飛躍的に高まることがわかってきた。そのスキルが「質問のスキル」だ。

◆4つの質問のスキルだけで、合意形成

 すなわち、(1)洗い上げ質問で論点を洗い出す。(2)掘り下げ質問で論点を掘り下げる。(3)示唆質問で合意の方向性を絞り込む。(4)そして、まとめの質問で、合意の確認をする方法だ。

 洗い上げ質問には、YES/NOではなっく相手が自由に回答できるように5W1Hを駆使して行う拡大質問(オープン・クエスチョン)を使う。掘り下げ質問には、逆にYES/NOなどで答えられる限定質問(クローズド・クエスチョン)を使う。示唆質問は、「○○の前提であれば、賛成ですか?」「○○の問題がクリアになれば、少なくとも反対はなさいませんか?」というように、ある前提をおいて、方向性を示唆し、合意の方向性を模索する。合意の方向性が絞り込まれた後も、結論を断定せずに、合意の確認も質問により行う。そして、これらの4つの質問を、その順番で繰り出すことが不可欠だ。

 このように紹介すると、「そんな簡単なことで、合意度が高まるはずがない」とお感じになる方も少なくないでしょう。しかし、企業と企業の対立においても、企業内の部所管における方向性のすり合わせにあたっても、上司と部下とのコミュニケーションの場面でも、はたまた、夫婦間や親子間の合意形成においても、実に大きなパワーを発揮する。演習で体験して実際のビジネスの場面で活用した方からも、役に立つ、使えるというフィードバックが集まる。

◆押し付けを排除する会議運営

 なぜ、質問のスキルが合意形成に役立つのか? その答えは、明確です。すなわち、世の中で行われている会議が、結論を押し付けようとする会議が実に多いのだ。「この方針を参加者に認めさせよう」「この提案にメンバーを従わせよう」という意図が見え見えなのだ。

 誰しも、押し売りは嫌いである。今どき、ほとんどのセールスパーソンは、ウリが入ると客が逃げるということを知っている。にもかかわらず、企業内の会議においては、その提案を通したい側のウリが入り、紛糾したり、見せかけの合意で終わったり、形式的な会議にとどまったりしてしまうのだ。

 質問のスキルによる合意形成は、いわば、そのウリを排除したプロセスを実現するものだ。そして、ウリは得策ではないと説明しても、そのプロセスを解説しても、頭ではわかっても実際にどのように発言すればよいか、すぐにわかるはずがない。そこで、洗い上げ質問、掘り下げ質問、示唆質問、まとめの質問の各パーツに分解して、それを反復演習して、体で身に付ける。