朝鮮総連の衰退が著しい。最盛期は50万人近くにも上ったが、公安調査庁によると、7万人に減少したとされる。北朝鮮による日本人拉致や世代交代も重なり、組織離れが進んだとみられる。写真は北朝鮮の国旗。

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2016年5月21日、北朝鮮系の民族団体を自称する朝鮮総連(総連、在日朝鮮人総連合会)が衰退の一途をたどっている。今月10日で結成61年。最盛期は50万人近くにも上る韓国・朝鮮人最大の団体だった。しかし、北朝鮮の実情が次第に明らかになり、さらに北朝鮮による日本人拉致や世代交代も重なって組織離れが進み、7万人に減少したとされる。

総連の前身は、1945年10月に組織された在日朝鮮人連盟。武装闘争方針を採用していた当時の日本共産党と友好関係にあった朝鮮人連盟は49年9月、「暴力主義的団体」として連合軍総司令部(GHQ)の指令で解散を命じられ、在日朝鮮統一民族戦線などを経て、55年5月、総連が結成された。

組織のトップは許宗萬(ホ・ジョンマン)議長。日本と正式な国交関係がない北朝鮮の大使館的な機能も果たす。結成の経緯などから、破壊活動防止法(破防法)に基づく公安調査庁の調査対象団体になっている。

2004年5月の第20回全体会議で採択された綱領には「愛族愛国の旗じるしのもとに、すべての在日同胞を朝鮮民主主義人民共和国のまわりに総結集させ、同胞の権益擁護とチュチェ偉業の継承、完成のために献身する」などと明記。各都道府県に支部、傘下には在日本朝鮮商工連合会、在日本朝鮮青年同盟、在日本朝鮮人科学技術協会、機関誌・朝鮮新報などがある。

総連は構成員数を明らかにしていないが、公安調査庁は今年2月、自民党の会合で総連の人数について「約7万人」と説明した。1960年代には韓国系の在日本大韓民国民団(民団、旧在日本大韓民国居留民団)を大幅に上回る50万人を誇ったのに比べ、その減少ぶりは顕著だ。

法務省の統計によると、昨年12月末現在の在日外国人中、「朝鮮籍」は33939人。朝鮮籍の全員が総連の構成員とは限らず、公安調査庁の見方をベースにすれば、構成員の半数以上が韓国籍あるいは日本国籍と推測され、「逃げ道」を用意しているようにも見える。

総連にとって決定的な打撃となったのが、2002年9月の日朝首脳会談。北朝鮮の金正日総書記(当時)が一連の日本人拉致への関与を認め、組織内に大きな衝撃が走った。1959年12月から始まった北朝鮮への帰還事業を通じて帰国した人たちから、「地上の楽園」とされた「祖国」の実態が徐々に伝わり幻滅が広がっていたが、これに追い打ちとなった。財政面で追い詰められ、東京・飯田橋の本部ビルが競売にかけられて追い出されそうになったことも混乱に拍車を掛けた。

こうした中、日本メディアはこのほど、1956年に開校し、総連が民族教育の最高学府と位置付ける朝鮮大学校(東京都小平市)の在校生が激減し、最盛期の1500人台から4割の約600人になったと報じた。次世代を担う人材の確保もままならない総連は岐路に立たされている。(編集/日向)