好きなことを仕事にしようがしまいが、幸せと社会的成功にはまったく関係がなかったことが判明!
◆「パレオな男」の快適ビジネスヘルスハック 第4回

 自己啓発や意識高い系の世界では、「好きなことを仕事にしよう!」といったフレーズをよく聞きます。確かに、大好きなことさえ仕事にすれば、自然とモチベーションが上がって仕事の効率も良くなり、幸せなビジネスライフを送れそうです。

 が、実は科学の結論はまったくの逆。これまでに行われた調査では、いずれも「夢や情熱なんて追っても意味はない!」との結果が出ているのです。

 例えば、ジョージタウン大学のカル・ニューポート博士は、2012年に「天職」に関するリサーチを行いました(1)。その結果を、博士は以下のように説明しています。

「私は、自分の仕事を『天職』だと考えている人たちにインタビューを行った。彼らが、どうやって仕事へ情熱を持つようになったかを明らかにするのが目的だ。 その結果、おもしろいことがわかった。彼らの多くは人生の目標を持っておらず、ほとんどが偶然の結果として現在の職についていたのだ。『夢を追いかけろ!』と煽る人たちにとっては衝撃的なデータだろう』

 どうやら、天職を得た人の大半は、夢を追って好きなことを仕事にしたわけではないようです。

◆夢を追うのと幸福度は比例しない!?

 この事実は、2015年にミシガン大学が行った大規模な調査でも裏付けられています(2)。このなかで、研究者は272名にアンケートを行い、すべての参加者の「仕事観」を2つに分類しました。

・適合派:「自分にピッタリの仕事がどこかにあるはずだ!」と思っているタイプ。「給料が安くても満足ができる仕事をしたい」と考えるため、転職率が高い。
・成長派:「どんな仕事でも続ければ好きになれるはずだ!」と思っているタイプ。「仕事は楽しくなくてもいいけど給料は欲しい」と考えるため、転職率は低い。 データによれば7割以上の人は「適合派」で、実際に自分が好きな仕事についていたとのこと。やはり世の中には、夢や情熱をベースに職を探す人が多いようです。

 しかし、全員の収入や幸福度のデータを統計処理したところ、その結果は意外なものでした。両グループの主観的な幸福度と収入のレベルは、まったく同じだったのです。

 要するに、好きなことを仕事にしようがしまいが、人生の幸せと社会的な成功にはまったく関係がありません。夢や情熱を追う前に、どんな仕事でもいいからまずは働けばいいわけです。 この結果を、研究者は次のように説明しています。

「適合派は自分の好きな職を探すのはうまい。しかし、実際にはどんな仕事にも好きになれない面が強いため、最終的には現実的なラインを探して妥協することになる」

 自分の好きな仕事にこだわり続けることは、どんな仕事も好きになれない状態と表裏一体なわけですね。なんとも染み入る結論です。そして、好きな職業についても大して幸福感が上がらないのには、もうひとつ大きな理由があります。それは、本当に仕事に対する情熱や楽しさを左右するのは、「自分は人様のお役に立ててるか?」という感覚だからです。

◆仕事への情熱に必要なものって?

 2007年に、フロリダ州立大学が「仕事のやりがい」に関する大規模な研究を行いました(2)。これは、過去に行われた259件の職業研究から、約20万人分ものデータを取り出して精査したもの。科学的な信頼度はピカイチです。

 その結果、研究チームは、「仕事の情熱を決める要素」を以下の6つに絞り込みました。

自治性:どれだけ仕事を自由にコントロールできるか
多様性:仕事の内容に幅があること
困難さ:適度な難しさがあること
フィードバック:自分の成果がハッキリ把握できるか