Webマンガ配信サービス少年ジャンプ+にて、「ファイアパンチ」第5話が配信されている。作者である藤本タツキ先生は、もったいぶることを知らない漫画家なのかもしれない。


“氷の魔女”により世界は雪と飢餓と狂気に覆われていた。唯一の肉親である妹のルナを、ベヘムドルグ兵ドマの“朽ちるまで消えない炎”で焼き尽くされた主人公アグニ。自身が持つ再生能力とその炎により、常に燃えさかる炎人間になってしまう。8年かけて炎のコントロールを覚えたアグニは、ドマを倒す復讐の旅に出る。

最強のはずが……


こんなに強い主人公が今までいただろうか?腕を鉈で切り落とされても、脳天を銃で撃たれても、すぐに回復する再生能力を持ち、身体を覆っているのは消えない炎だ。触れるだけで敵を焼き尽くしてしまう。まさに最強の主人公だ。

実際に戦ったらもちろん悟空やケンシロウの方が強いだろう。しかし、特殊能力以外は至ってノーマルなこの世界観において、これほどまで他を圧倒する主人公は他に思い当たらない。

前話で頭を銃で撃たれて苦しむ描写こそあったものの、すぐに復活して相手を一蹴したアグニ。これはしばらく苦戦することもなさそうだ。そう思われた矢先の第5話。なんともうやられてしまった。やられそうになっているのではない。やられたのだ。しかも、ものの数コマで。

これ絶対に奥の手だろ!!


首を切り落とし、一定間隔で頭部に銃弾を打ち続けて再生する間を与えない。これがアグニを倒す方法だ。ここで率直に思ったこと、それは“いやいや、これやるの早くない?”。もっと物語が進んでから宿敵の“ドマとかがやってくるヤツじゃない?”だ。不死身の炎人間対策をこんなに序盤でやられるとは予想もしていなかった。というか、物語的に一番盛り上がる奥の手的な存在だと思っていた。

なぜ今回の敵は不死身の炎人間対策が行えたのだろうか?それは今回の敵であるユダがアグニと同じ再生能力を持っていたからだ。では、なぜアグニと同じ能力を持っていたのだろうか?

どんだけ詰め込むんだ第5話


それはユダがアグニの妹のルナだったからだ。そうなのだ。第1話で死んだはずの妹が生きていたのだ。焼き尽くされたはずの妹は生き延びてべヘムドルグ兵になっていたのだ。

いやいやまてまて、めっちゃ面白いけどこれやるのも早くない?こんなの奥の手中の奥の手だ。こんな序盤でやるのはもったいない。ダイの大冒険のアバン先生も、るろうに剣心の薫もちゃんとビックリするタイミングで再登場した。ただ道を歩いていたら急に死んだはずの大事なキャラクターが出てくるなんて漫画は他に見たことがない。もったいぶることを知らない急展開の連続にワクワクしてしまう

もちろんユダが本当にルナなのかどうかは現時点ではわからない。だが、どっちにしろこの序盤でこの大展開はかなり勇気がいることだろう。普通この先の話が尻すぼみになることを恐れてしまうからだ。もしかしたら第5話は、この先もっと面白くできるという藤本タツキ先生の自信が表れた回だったのかもしれない。

ユダはルナなのか?だとしたらなぜ生きているのか?ベヘムドルグ兵と一緒にいる理由は?なぜアグニを狙ったのか?たったの17ページでこれだけの謎を残した第5話。続きは23日(月)配信予定だ。
(沢野奈津夫)