19日、イランのアッバス・アラグチ外務次官が会見、日本に対し、石油、天然ガス、化学産業のほか、自動車、高速鉄道、原子力発電などでの協力を求めた。また「混乱する中東情勢の解決へイランと日本の協力が不可欠」と強調、安倍首相のイラン訪問を期待した。

写真拡大

2015年5月19日、イランのアッバス・アラグチ外務次官が日本記者クラブで会見、今年1月の核合意後にイランへの経済制裁が解除され、多くの国との経済協力がスタートしたと指摘。特に日本に対し、石油、天然ガス、化学産業のほか、自動車、高速鉄道、原子力発電などの分野での協力を求めた。また「混乱する中東情勢の解決のためにイランと日本の協力が不可欠」と強調、安倍晋三首相のイラン訪問に大きな期待を寄せた。発言要旨は次の通り。

【その他の写真】

今年1月、米国など6カ国とイランによる核合意を受けて、イランへの経済制裁が解除された。その後日本との協力の可能性が開けたことをうれしく思う。安倍晋三首相のイラン訪問を要望したい。安倍首相の訪問がイランと日本の協力の転換点になることを確信している。日本の首相のイラン訪問は、1978年の福田赳夫首相(当時)以来のことになる。その際は日本がイランの石油を購入した。

日本との間でも石油や化学分野をはじめ多くの可能性が存在する。日本にはイランからの石油購入のほか、石油ガスや化学産業への投資を期待したい。イランは日本の4〜5倍の広大な国土を保有しており、各地域を高速鉄道で結ぶ計画がある。日本の新幹線にも注目している。

イランは原子力発電所建設を計画している。日本は大きな原発先進国であり、イランは
最終核合意後、原子炉の平和利用が国連安保理で認められた。イランは2万メガワットの電力を原発で賄う計画だ。1000メガワット級の原発建設でロシアと協議しており、あと1万2000メガワット分を必要とする。イランは地震国なので日本の技術に関心を持っている。

制裁解除後に、イタリア、韓国など6カ国の首脳がイランを訪問、来週インド首相が来訪する。一方、イランのロウハニ大統領がフランス、イタリアを訪問、欧州共同開発のエアバス188機を購入する契約を結んだ。制裁解除後に始まった一連の出来事は注目すべきことだ。

核問題を解決するために、安保理5カ国にドイツを加えた6カ国と協議し、合意に至った要因は(1)米側が「威嚇」から「対話」に方針転換した(2)イランと米国両国はゼロサムゲームではなく、ウインウイン関係を築くために対話した(3)イランが協議を通じて透明性を証明し、原子力計画を開示したことによって平和利用のものであるとみなされた―など。制裁解除はイランにとって勝利だった。

6カ国とイランとの核協議は、他の国との協議にも有効であることが分かったので、この協議形式をモデルとして進めていくことが可能となる。

イランの経済・産業は非常に魅力的であり、世界の多くの企業が石油、ガス、化学産業などに注目している。自動車産業も有望で、フランスのプジョー・グループとも契約を結んだ。イランで生産し、一部は近隣諸国に輸出される。イランの人口は8000万人で年間の自動車販売は300万台まで拡大できる。周辺諸国を合わせると人口は3億人に達するので、もっと大きなポテンシャルがある。

混乱する中東情勢の解決のためにもイランと日本の協力が不可欠だ。日本は原油輸入国でありイランは輸出国であり、中東の安全が重要である。しかしこの地域ではテロや過激主義者によって支配されている。混迷を深める中東の中で、イランは政治的に安定している大国で、治安の良さも群を抜いている。欧州のようなテロはイランでは起こらない。イラン経済は制裁解除後発展しつつあり、国際社会で大国になる。西アジアのイランと東アジアの日本はよき平和パートナーになり得る。

サウジアラビアはイスラムの大国であり、同国との関係改善は有益と考えている。互いに近隣国として一方が一方を排除することはできない。我が国の外交政策はあくまでも地域の安全と繁栄を優先する。あくまでも対話を通じて努力し、ウインウインの関係でアプローチしていく。ただサウジからは十分な回答が寄せられていないが、解決には対話しか方法はない。

経済制裁の解除によってイランに100億ドルのクレジット枠信用枠が供与された。その活用策や残る金融取引の障害の除去なども検討課題となる。(八牧浩行)