三菱自動車の不正問題では、カタログ燃費と10%前後の差違がクローズアップされています。しかし、そもそも国の基準自体が実燃費とかけ離れている実態が一方にあります。

その点、所管省はどう考えているのか? 最近発表された新しい燃費基準も含めて話を聞きました。

[答える人]
国土交通省 自動車局環境政策課
皸羸深 氏

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── カタログ燃費であるJC08モードと実燃費のギャップは、三菱車オーナーだけでなく多くの方が感じているところです。これについて国土交通省へ具体的な声は届いていますか?

「はい。やはりユーザーからの声が多く、直接電話での問い合わせもあります。特定の車種についてはもちろん、一般論として差が大き過ぎるという声もありますね。メディア関係では一部新聞社からの質問がありました」

── 以前の10.15モードの反省を生かしたはずのJC08モードですが、なぜ解離が大きいままになってしまったのでしょう?

「モード燃費は運転スタイルに左右されますので一概に差が大きいとはいえません。ただ、燃費に厳しいとされる寒冷時(コールド)スタートや、エアコンなど電装品の使用に対しての設定が甘かったとは言えるかもしれませんね」

── 先頃、新しい国際燃費基準である「WLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)」の2018年導入が発表されましたが、その点で具体的な改善点はありますか?

「基本的には欧州基準の準用で、まずスタートは100%コールド・スタート(JC08は25%)であること、平均車速が約50%上がっていること、またアイドリング時間が逆に50%程度減っていること、総走行距離の倍増などがおもな改善点です」

── それで、どの程度実燃費に近くなると考えていますか?

「車種によりますが、全体的にJC08より低い数値が出ます。事前の実験では、とくにハイブリッド車や軽自動車でその差が大きい。これは平均車速が上がっているためだと思われます。また、WLTPでは市街地・郊外・高速道路のパターン別数値も公表しますので、車種による特性の違いも出せると思います」

── 2018年の導入以降、新型車を含め当面JC08モードとの併記表示が可能とされていますが、たとえば、既存車にも新基準適用の指導などは行いますか?

「現行の2020年度燃費基準はJC08モードベースです。メーカーもそれを元に開発を進めていますので、所管としていきなり全部変えろとは言えない。ただ、お願いとして話をするか否かは状況を見ながら考えたいですね」

── WLTP導入で過度な燃費競争は収まると思いますか? また、所管としてそのような施策を考えていますか?

「そこはメーカーの競争領域ですし、環境政策の部署としてはより燃費のいいクルマが増えること自体は歓迎です。ただ、たとえば軽ではホンダN-BOXやダイハツ・タントなど、販売上位車種は必ずしも燃費だけで選ばれていません。ユーザーは意外と多様な選択理由を持っていると思いたいですね」

── 本日はありがとうございました。

(すぎもとたかよし)

カタログ燃費とのギャップは三菱だけじゃない!新燃費基準「WLTP」について訊いてみた(http://clicccar.com/2016/05/19/372611/)