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ITマネージャーが基幹業務および社内ネットワークの回線会社を選択するときに気をつけるべきポイントはなんだろうか。大抵の場合、トラブルに合いたくないというのが本音だろう。本稿では、ITマネージャーがトラブルを回避してスムーズな回線選択を行えるようなヒントとなるTipsを探る。

○1. 障害時の復旧が早いこと

ネットワーク設備とて、どうしても物理的な劣化は免れない。また、天災など予期せぬ災害による障害発生の可能性もある。従って、ネットワーク障害に備え冗長構成をとっていたり、障害時の迅速な対応ができる会社かどうかを注意してチェックする必要があるだろう。

つまり、ネットワークの冗長構成により障害時の自動切り替えに対応したり、提供されているネットワークのどの部分に故障が起きているのかを迅速に切り分けできることが最も重要となるのだ。これは、自前でネットワーク設備やデータセンターなどを所有・運営している総合的な会社を選択するのが望ましい。

エンド・ツー・エンドで、さまざまなデータを吸い上げて品質保証を行うことができるほか、一括して管理している会社であれば、その分だけ問題の一元管理が可能となり、切り分けを含む復旧対応が迅速に行える。故障カ所の復旧には時間を要するが、問題の切り分けに時間をかけてはいられない。迅速に障害復旧を行うためには、トラブルシューティングの切り分けが速いトータルサービスを展開している会社を選ぶべきだ。

○2. 増速しやすいこと

次にイーサネットの技術をベースに回線サービスをスタートしている会社を選ぶといいだろう。初期導入の設備を比較的新しい技術を用いて構築しつつ、トータルサポートを行ってくれる会社だ。なぜならイーサネットからスタートしているということは設備機器が新しいと考えられ、SDH(Synchronous Digital Hierarchy:光ファイバーを用いた高速デジタル通信方式の国際規格)やTDM(Time Division Multiplexing:時分割多重。通信回線を一定時間ごとに区切ることで、各時間ごとに別のデータを送受信する方法)といったレガシーなソリューション向けの設備を持たざるを得ない会社を選ぶよりも、スピードが速く合理的だからだ。

また、クラウド時代を迎えるに従い、通信データの容量は未知となる。そのような場合、トラブルや回線の遅延を避けるためには、増速しやすいことも大きなポイントとなってくるだろう。そのためには、SDN(Software-Defined Network:ソフトウェア定義型ネットワーク)などにも対応している必要があり、SDNは別稿でも取り上げるが、回線選択時の大きなポイントの1つだ。

○3. 海底ケーブル断裂時に迂回ができること

海の底に沈んでいる海底ケーブルは、どうしても物理的な断裂が避けられない。そんな時、迂回ルートを選択することができることも重要だ。品質を保証し、パケットロスなどにも対応し、パケットの取りこぼしを起こさないためには、海底ケーブルに損傷があった万が一の際には別のルートを即座にスイッチできる会社の選択が望ましいだろう。国際ネットワークの導入を考えるなら、陸路部分のみならず、海底ケーブル部分のダイバーシティ確保にも対応してくれる会社を選ぶことが重要となる。

○4. 低遅延への対応

あなたの想定するネットワーク利用用途は低遅延を求めるだろうか?遅延が起こる理由は、さまざまだが1つの要素として、ファイバーの距離が長いほどパケット処理に要する時間が累積され遅延が出る。これは、通信会社がネットワーク設計時に最も迂回が少なく物理的に直線となるようなルートを選定するなど、低遅延への配慮を行うことにより避けられる。提供を受けるネットワークサービスが国際ネットワークである場合、海底ケーブル陸揚げ局から通信事業者のバックボーン回線までをつなぐ中継回線(バックホールとよばれる)部分についても低遅延ネットワークに配慮した設計となっていれば間違いない。

○5. 契約がフレキシブルであること

多くの通信事業者は、契約が1年単位などの年単位の契約になっている。だが、クラウド時代になるに従って、契約は使った分だけ、もしくは短期間のフレキシブルな契約が求められる。ここでも、長期の契約は避けて、契約期間が短い時代に添った契約を結べる会社を選択すると良いだろう。あまりに長期の契約は、トラブル時に大きなデメリットとなるので注意が必要だ。クラウドが従量制の課金であるならば、回線の利用もそうであるべきだろう。SDNに強い、回線を増速しやすいということにも連動しているということは、それだけ回線そのものに対して依存していない独立した契約が可能となる。つまり短期間でも契約が解除しやすいのだ。これはエンドツーエンドで回線設備を運用しているため、短期契約などのフレキシブルな対応が可能になる会社を選ぶと良い。

○まとめ: トラブル回避と業界としてのあるべき未来像

パブリッククラウド接続用途のWANサービスが伸びていることも踏まえ、大手通信事業者の動きにも注目が集まっている。

回線会社のあるべき未来像について、Coltテクノロジーサービスの執行役員 プロダクトマネジメント本部プロダクトマネジメント部の星野真人氏は「大規模ソリューションや大規模システムは、今や完全にクラウドの時代だ。クラウド時代を迎える一方、回線は相変わらず年単位の契約なのか?という疑問が生まれても仕方ない。クラウドにエンタープライズ系クライアントが多数流れていくため、通信事業者も今後はクラウド時代に適した契約形態に対応すべきだろう。Coltの場合は、エンド・ツー・エンドで回線設備を所有・運用しているため、短期契約ができる。かつ、クラウドに見込まれるトラフィックのバーストにも対応が可能だ」という。

通信事業者もクラウド化の流れに乗り、柔軟な対応が迫られているようだ。障害の問題切り分け、イーサネットベース、低遅延、断裂時の迂回、そして契約形態のフレキシビリティこそがクラウド時代における通信会社の理想像であり、ITマネージャーが回線会社を選択する際も、その時代性に準じた企業を選ぶべきではないだろうか。

Coltテクノロジーサービス株式会社
ヨーロッパ全域で事業展開するColtグループのAPACにおけるビジネスユニット。旧称 KVH株式会社。自社構築のインフラを世界28ヵ国48エリアで所有の上、超低遅延・完全冗長化ネットワークをグローバルに展開し、法人向けネットワーク、音声、データセンターサービスを提供している。