WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 マスターズ終了後、松山英樹(24歳)は3週間のオフを経て、ウェルズ・ファーゴ選手権(5月5日〜8日/ノースカロライナ州)で復帰した。初日は2オーバー、101位と大きく出遅れたものの、終わってみれば通算4アンダー、11位タイでフィニッシュ。粘りと底力を見せた大会だった。

 開催コースのクエイル・ホロークラブ(7575ヤード、パー72)は、グリーンが速く、思いのほかスコアが伸びない難コースだった。初日に出遅れた松山は、2日目も予選ラウンドの通過ライン上を行ったり来たりと、苦しい展開を強いられた。

 苦労したのは、ショートゲーム。アイアンの精度は高く、ショットも好調だったが、グリーン周りからのチップショットが寄らず、なかなかスコアを伸ばすことができなかった。それでも終盤、粘り強いプレーを見せて「71」とスコアを伸ばすと、ギリギリで予選通過を果たした。

「初日が悪くても、2日間の予選だから、あまりそこは関係ない。どんな順位であれ、予選を通ることはとても大事。それを続けることが、大切だと思う」

 予選落ちを心配したファンやメディアの思いとは裏腹に、松山はそう言ってあっけらかんと笑った。が、松山自身、この予選突破は相当うれしかったのだろう。冷静さを装いながら、普段よりも饒舌な彼を見て、そう感じた。

 決勝ラウンドに進むと、松山はさらに粘りを発揮。3日目が「70」、最終日は「69」で回って、通算4アンダーまで伸ばした。トップ10にはわずかに及ばなかったが、尻上がりに調子を上げて11位タイで終えた。

 ラウンド後、松山はこう語った。

「ショットがよかったから、もう少しスコアが出せたかなという感じ。やっぱりショートゲームがよくなかったので、もっと攻めたいけど、攻められなかった」

 101位からスタートして、最終的には11位。はたから見れば十分な成績に思えるが、相変わらず自分に厳しい松山は、決して満足することはなかった。

 松山にとって、今大会で浮き彫りになった課題は、グリーン周りからのアプローチだ。それは、本人もよく自覚している。

「(アプローチが)下手くそ過ぎて、どうにかしないと......。練習ではできるのに、試合ではできない。せめて、今の半分くらいの距離までに寄せないとダメ」

 現に、今季ここまでの松山のスタッツ(成績)を見てみると、ショットの精度を計るパーオン率は、70.12%でツアー全体の13位と高い数字を誇るが、グリーンを外したときにパーを拾える確率を計る「スクランブリング」は、60.30%で85位。特に、20〜30ヤードの距離からでは41.9%で183位と、かなり低い数字となっている。

 前述したとおり、今大会でもグリーン周りからのチップショットが寄らずに苦しんだ。かなりショートしてボギーにする場面が何度もあったし、パー5ではアプローチが寄らずにバーディーが取れないことが多かった。松山が「もっと伸ばせたのに......」というのもよくわかる。

 パーオン率が高いということは、グリーンを外すことが少ないことを意味する。それは、松山の強みであるが、グリーンを外したときにしっかりセーブすることができれば、さらに上位を狙えるのは間違いない。松山が言う。

「(アプローチの)練習はしているんですけどね。試合と練習とは違う。プレッシャーというより、本番は1回しかない。練習でもそういう想定をしながらやるのが大事かも」

 松山は、3日目が終わったあと、ショートゲームの練習に多くの時間を割いていた。最終日は、グリーンを外した4回中、3回はパーをセーブすることができたので、少しはその成果が出たのかもしれない。

 ちなみに、このウェルズ・ファーゴ選手権の予選ラウンドでは、松山は"フィーチャー・ペアリング(注目の組)"のメンバーに選ばれ、世界ランキング3位のロリー・マキロイ(27歳/北アイルランド)、同5位のリッキー・ファウラー(27歳/アメリカ)と同組だった。初日は早朝スタートだったにもかかわらず、大ギャラリーに囲まれてプレーした。

 松山は最近、このフィーチャー・ペアリングにたびたび選ばれている。そのたびに松山は、「なんで、僕なんですかね? 僕が選ばれるのはおかしいでしょう?」と言って首をかしげる。

「こういう組で回ると、もちろん楽しい。だけど、もうちょっと落ち着いてやりたいですよね。初日から最終組みたいな雰囲気だった(笑)」

 ところで、その3人で回った予選ラウンド。出遅れた松山を尻目に、マキロイとファウラーは2日目にともに60台をマークし、優勝争いへと絡んでいった。松山は、自らとふたりとの差について、「100ヤード以内のショットの精度」と語った。

「(マキロイも、ファウラーも)あれだけ飛ばして、そのうえアプローチがうまければ、やっぱりスコアは出る。ショートゲームがいいから、ドライバーも振っていけるのだと思う。そこら辺は、今の僕にはない。課題かな、と思う」

 今大会ではパッティングが決まらず、「イライラした」という松山。しかし大会中は、終始笑顔を絶やすことがなかった。

 3週間のオフで気持ちがリフレッシュできたせいなのか、もしくは今季、すでに1勝を挙げて気持ちに少しは余裕ができたのだろうか。久々にトーナメント会場に現れた松山は、心からゴルフを楽しんでいるようだった。課題はあるものの、シーズン2勝目を飾る日もそう遠くはないかもしれない。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR