連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第6週「常子、竹蔵の思いを知る」第36話 5月14日(土)放送より。 
脚本:西田征史 演出:岡田健


溺れた美子(根岸姫奈)を果敢に水に飛び込み救った常子(高畑充希)。
風呂に入って冷えた体をあたためているところで、とと・竹蔵(西島秀俊)と遊んだ百人一首のことを思い出す。
君子(木村多江)が強かったのは、子供の頃、青柳家でよくやっていたからだった。

「君がため惜しからざるし命さえながくもがなと思ひけるかな」(藤原義孝)

君子の名前の由来になったこの歌から滝子(大地真央)の想いを知ると、長年の凝り固まった母娘のしこりがようやくほぐれる。
「ここらでちょっと意地をはるのも休んでみるかい」や「いっきに距離を縮めたらまたぶつかっちまうかもよ」などの滝子の台詞は思いやりに溢れている。きっつい顔してるがほんとうはすごく優しいお母さんなのだ。
こうなったのも、200通も手紙を滝子に書き続けたととのおかげ。
そんなととのへの感謝も込めて学費の援助を申し出る滝子の気持ちを、君子も素直に受け取ることができた。
めでたし、めでたし。

一方、森田屋。
母・まつ(秋野暢子)と息子・宗吉(ピエール瀧)の卵焼き問題も解決。
さらにさらに、長年のまつと滝子の確執の謎も明かされ(たわいないゆかいなことだった)、それによって解決。めでたし、めでたし。

これほど、毒のないエピソード群を毎日観ていると心が浄化されていく気がする。毎日、朝がゆを食べている感じ。勝手に割烹着を着て台所に立つ西田征史を思い浮かべ(平岩紙みたいな優しい感じ)拝みたくなってきた。

「常子、すっかりとと姉になったわね」と君子。
「竹蔵を亡くしてから波瀾万丈だった一家の生活もようやく落ち着き、常子の少女時代は終わりを告げようとしていました」とナレーション(檀ふみ)。

主人公と彼女を取り巻く人たちの問題をすべて解決し、だいたい26週あるうちの4分の1が終了した時点で、いったんゼロに戻したうえで、起承転結の承へと向かう。ここから観はじめる人にも問題ない構成。計算しつくされているにもかかわらずそういう賢さをひけらかさない。36回も、百人一首で「ちはやふる」(下の句公開中)の代表的な歌がまたまたフィーチャーされているのも、抜かりない(詳細は4回のレビューをごらんください )。

いい水、いい米、上手な研ぎ方、浸水の仕方などが徹底したおかゆをつくる達人・西田征史。常子の生き方より、西田征史の生き方が興味深い。7週は、西田の監督作「小野寺の弟・小野寺の姉」で向井理の姉を演じた片桐はいりの登場で、西田の朝がゆに格別なトッピングが乗ってますます美味しくなりそう。
(木俣冬)