『桃色トランス』(一迅社)

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冷静に考えると、エロというよりも狂気の作品だ。このたび第1巻が発売された、こるり『桃色トランス』(一迅社)には、そんな感想を描いた。

 この作品、正直、ストーリーはほとんどない。存在しているのはシチュエーションとプレイだけである。もしも、これから読む読者に向けて説明を試みるならば……食いしん坊でプニプニ体型の生徒会長が役員の女の子たちに、心も身体も弄られまくって気持ちよくなっちゃう……という作品である。

 いやいや、リアルにそのシチュエーションだけなのである。おまけに、乳首とかでない。あくまで着たままで、女の子同士の過激なイタズラってところに納めようとしているんだから、可愛いとかエロいを超えた狂気の沙汰だと思うのである。

 物語の舞台となる生徒会は、基本的に役員の女の子が放課後にだらだら過ごしているだけの空間である。生徒会長・あおいは、性格は天然で体型がプニ。いや、作品中ではもっと直接的に「ピザ」と表現しております。まだまだ若くて代謝がよいのか、ブタになってはいないけど、相当たるみきった身体をした女の子である。

 でも……いや、だからこそ可愛いのである。「私もダイエットしたいと思ってる」と口では言いながらも、食べているときにとても幸せな顔をしている女の子ほど可愛いものはない。生徒会室に集う、眉毛が特徴的なボブカットの副会長・かなで。Sなお嬢様の南、前髪パッツンロリっ子の花は、みんな会長のことが可愛くてたまらない。だから、ダイエットしたいとなれば、なぜか会長にブルマを着せて、ランニングマシンで必死に走らせたりしちゃうのである。

 で、物語のポイントはメインの4人が総じて異常に感じやすい心と身体を持っていること。

 第1話では、ランニングマシンで走った後のマッサージで完全に絶頂しているわけなんだけど、こんなのはまだ序の口だった。このヒロインたち、ちょっとした出来事で百合っぽい興奮をしたり、とにかくスイッチが入りやすいのである。

 中でも、かなでは、あおいに髪の毛をブラッシングされただけで「あおいのブラッシング、指が耳にッ」と、単に感じやすいだけではない。というか、髪の毛だけでここまで感じるのかとツッコミたくなる。でも、ここで重要なのは冷静になることではなく、ヒロインたちに感情移入することだ。

 いつもオモチャにしている会長に、逆に触られたりしたら感じちゃう。そのアンビバレンツな感情がまた興奮のポイントなんだから。

 もう、ここは三次元での自分を忘れて登場人物にとことん感情移入しきるのが、この作品を楽しむためのポイントだろう。もう、シチュエーション以外に何も残らない本作。セックスも何もないのに興奮させるテクニックに賞讃を送りたい。
(文=ピーラー・ホラ)