三菱自動車が日産自動車の傘下に入ることになった。世界の自動車業界再編を加速する可能性がある。カルロス・ゴーン社長率いるルノー・日産連合は三菱車を加え、量的には自動車2強のトヨタ、独VWを追う体制となるが、質の向上も欠かせない。資料写真。

写真拡大

燃費偽装で揺れる三菱自動車が日産自動車の傘下に入ることになった。世界の自動車業界再編を加速する可能性がある。カルロス・ゴーン社長率いるルノー・日産連合は三菱車を加え、量的には自動車2強のトヨタ自動車、独フォルクスワーゲン(VW)を追う体制となるが、人工知能(AI)技術を駆使した自動運転車や電気自動車など質の向上も欠かせない。

4月下旬に三菱自動車の2車種、三菱自動車が日産に供給した2車種の軽自動車の計62万5000台で燃費偽装が発覚。その後も三菱による燃費データ不正が明らかになり、ブランド価値の低下による業績悪化が避けられない状況に陥った。三菱自動車の株式の34%を2370億円で取得し、三菱グループ各社を抜いて筆頭株主になる。

トヨタ、VWが世界販売で1千万台を超える規模の競争を展開、ルノー日産グループはこの2強に遠く及ばなかった。今回三菱自動車の100万台を加えた同グループの世界販売台数は950万台に達し、「1千万台乗せ」も視野に入った。規模拡大により鋼板などの購買力が向上、部品の共通化を通じた原価低減効果も見込める。

三菱自動車は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHV)をいち早く手掛け、東南アジアでは日産より実績や知名度がある。日産が力を入れるEVの「リーフ」の世界販売は累計でも約20万台にとどまり、先行する米テスラ・モーターズに大差をつけられている。インドやインドネシアで販売する新興国戦略車「ダットサン」シリーズも伸び悩む。

世界の自動車業界を巡る競争は規模拡大だけではない。自動運転車などの分野で米グーグルをはじめとする新興企業が出現。人工知能(AI)技術を求めてフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)がグーグルと最近提携した。米アップルも自動車産業への参入を計画している。

家電・カメラ分野に顕著だったデジタル化の波は自動車産業への参入障壁を引き下げ、米国やカナダの部品メーカーが独自ブランドの自動車メーカーへの参入を目指している。「ジャスト・イン・タイム」「カンバン」「カイゼン」といった効率的な生産管理方式はトヨタをはじめとする日本車メーカーの強みだったが、近い将来、電機業界と同様、逆に弱みとなってしまう恐れもある。

日産のゴーン社長は「日産と三菱は同じ日本企業であり、協力し合える。三菱自のブランドは維持されるし、日産が支援することで低下した三菱の信用は回復される。われわれはウィンウィンの関係だ」と強調している。ITデジタル革命が進行する世界的競争の時代に、「質」の変化に対応できなければ「日産・三菱連合」の将来も危ういと言える。(八牧浩行)