160513iot open source

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オープンソースはソフトウェアにおける手法としてますます一般的なものになってきているが、IoT開発の世界ほどこれが当てはまるところはないだろう。

VisionMobileのアンケートの結果、3700名の開発者のうち、回答者の91%は手がけているソフトウェア・スタックの、少なくとも一部にオープンソースソフトを使っていると回答している。
これはIoTにとってはいいニュースである。オープンソースは所有者の標準による束縛を無くし得る唯一のものであるからだ。

こういったオープンソースの気質についてより興味深い事があるとすれば、それは企業に属する開発者たちがオープンソース運動を毛嫌いするなか、IoTの開発者たちは「自由なものである」という事からオープンソースを好んでいるところだろう。

あらゆるところにオープンソース

VisionMobileのアンケートによると、IoT開発者たちはオープンソースソフトを使い、貢献もしているという。ソフト、ハードデータを問わず、IoT開発者たちに提供されるオープンソースの選択肢の多さを考えれば驚くような事でもない。

OSに関して言えばRaspbian, Ubuntu Core, Google Brillo, Contiki, FreeRTOSといった選択肢がある。
フレームワークやライブラリにおいてもSiddhi, bip.io, KinomaJS, RHIOT, ZettaにYalerその他、選択肢はごまんとある。ソフトの選択肢の豊かさから、71%のIoT開発者たちはこれらのうち1つか複数を利用すると考えている。

この高い普及率は「オープンソース技術は開発者たちにとって、商用ベンダが取り組みにくい。ニッチではあるが核心的な問題を解決するのに非常に有効だからだ」とVisionMobileは結論している。

だがソフトウェアだけの話ではない。

Raspberry PiやArduino, FlutterなどのハードウェアコンポーネントはIoT開発者の77%の心をつかんでいる。
またある概算によれば、開発者のうち41%は利用するだけでなくIoT用のオープンなデータを提供しているという。

オープンソースの普及率は、それが単に実用的なものだからというものではないが、企業での普及のそれとは少々意味が異なる。VisionMobileは「(IoTにおける)オープンソースユーザーのうち、完全に実用目的で使っている(他に良い選択肢がない時のみオープンソースを利用している)のは1/5に過ぎない」ことを明らかにした。

IoTにフリーダムを

オープンソースに値段がタダであること以上の価値がある事は人々の貢献レベルから言っても明らかだ。
IoT開発者のうち58%がソフトウェア・スタックの少なくとも1つをオープンソースにフィードバックしている。
確かにコアな貢献をする開発者の率は9-12%と高いとは言えないが、一般的に言ってこれがオープンソースの本当のところだ。あるプロジェクトでコアな貢献を出来るレベルにまでスキルを高める時間を取るのは非常に難しいという事がわかる。

それでも開発者たちは、例えIoTプロジェクトの舵取りをしている訳でないにしろ、オープンソースに貢献を続けている。彼らの大多数を占める55%は、イデオロギーがオープンソースの普及を推し進める重要な要素だと述べており、35%はオープンソースが使われるのは、コミュニティによる更新によって、それが最適な選択肢となっているからだと答えている。

IoT開発者たちが夢見がちな理想主義者だという事を言いたいわけではない。
32%はコミュニティーによるサポートを好んでいる事を示唆しており、前述の35%はオープンソースがベターな選択肢なのはコミュニティの力によるものだと言う事だ。

VisionMobileは次の事を取り上げている。

「IoTにおいてオープンソースコミュニティの人気は、かつては経験が一年にも満たない開発者達から49%の支持を受けていたのに対し、今では6年以上の経験をもつ開発者からも70%の支持を集めている。彼らはIoT開発者にとって、vendorの資料に次いで2番目に重要な情報源となっている。同様にQ&Aサイトの人気も39%(未経験)から58%(6年以上の経験)にのぼっている」

だがオープンソースに対する手放しの愛情に注意を喚起したい。
趣味で開発を行う人はソフトウェアがフリーである事をとても重視し、そういった彼らはIoT開発者の大多数を構成している。彼らのうち64%がオープンソースのイデオロギーを重視するなか、プロの開発者達はその実用性をより重視している。

言い換えれば、たとえそれが商用的な面を持つことになろうとも、オープンソースはIoTの世界において大きなものであり続ける。その中でイデオロギーよりもクオリティーのほうが重視されるようになっていく事だろう。

(ReadWrite Japan編集部)

ReadWrite Japan編集部
[原文]