背景に有名な建造物が映り込んでも問題ない?――トラブルを防ぐための映像コンテンツにまつわるルールのはなしvol.2

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動画コンテンツや動画広告を制作する上で、関係する法律を正しく理解しておくことが、結果的にさまざまなトラブルの回避につながります。本記事では、実際に制作や配信を行う際に生じるさまざまな疑問に答えていきます。
(vol. 1「映像の著作権って誰のもの?」はこちら

目次

Q. 屋外ではどこでも自由に撮影できる?
Q. 映像の背景にキャラクターや建物が写り込んでも問題ない?
Q. 通行人の顔が写ってしまっても大丈夫?
Q. 楽曲や効果音を使う時に気をつけることは?
Q. 社内イベントで流す映像だったら楽曲を無断で使用してもいい?
Q. どんな映像でも配信できる?
Q. メディア上に投稿した映像の著作権は誰のもの?

屋外での撮影

Q. 屋外ではどこでも自由に撮影できる?

公道で撮影を行う場合、所轄の警察に道路使用許可を申請します。許可が下りるまでに数日かかり、また渋谷のスクランブル交差点など、原則許可していないスポットもあるので、早めに手続きを行ったほうが安心です。

その他、公園などの公共の施設では管轄する自治体へ、商業施設や駅などではその所有者への届け出が必要です。

Q. 映像の背景にキャラクターや建物が写り込んでも問題ない?

屋外で撮影する際、背景にポスターやキャラクターなどの著作物、企業ロゴなどの商標物が写り込んでしまうケースが想定されます。

著作権法では基本的に、撮影対象物から「分離することが困難」であれば、著作物が小さく写り込んでしまっても権利侵害には当たらない(ただし著作者の利益を不当に害する場合を除く)とされています。ただし、写り込みの程度(大きさや見え方)や、「分離することが困難」か否かは、事案ごとに都度判断されるため、できるだけ著作物や商標物が写り込まないような撮影プランを立てましょう。
なお、音声に関しても同様の判断がなされます。

それではビルや電波塔などの建造物の写り込みはどうでしょうか?

法律では、屋外に恒常的に設置されている建造物(「建築の著作物」と「美術の著作物」)については、それらを複製して建てたり、DVDなどにして販売する目的ではない限り、自由に撮影してよいことになっています。電車も同様の考え方です。
ただし、企業による商用目的の映像の中で、特定の建造物や観光スポットなどを意図的にフィーチャーする場合には、撮影前に所有者に承諾を得ておいたほうが安心です。あくまで遠景の一部に含まれている程度であれば許可を取らなくても問題ないと考えてよいでしょう。

参考サイト:いわゆる「写り込み」等に係る規定の整備について(文化庁)

Q. 通行人の顔が写ってしまっても大丈夫?

すべての人には、無断で撮影されたり、無断で公開されたり利用されたりしないように主張できる権利、すなわち肖像権があります。実は肖像権は法律で明記されている権利ではありませんが、判例上認められているため、慎重に扱う必要があります。

撮影では、無関係な一般の人が写り込まないよう、人通りの少ない時間を選ぶなどの工夫が基本ですが、万が一写り込んでしまった場合は、その人と認識できないよう編集加工を施します。

ただし、肖像権は非撮影者自身が“処分”することもできる権利です。つまり、街頭インタビューなどでは、その人から撮影・放映に関する承諾書(肖像権使用同意書)をもらうことで、映像素材として使用できるようになります。

音楽素材の扱い方

Q. 楽曲や効果音を使う時に気をつけることは?

「音」は映像に欠かせない要素です。しかし言うまでもなく、著作権で保護されているアーティストなどのオリジナル楽曲や、商標登録されているサウンドロゴなどを無断で使用することは違法です。
動画にBGMを入れる場合は、著作権保護された楽曲を正式な手続きを踏んで使用するか、著作権フリーの音楽素材(有償/無償)を活用するか、オリジナルの楽曲を自ら制作するかを、企画や予算をもとに決めていくことになります。

また、例えばテレビCMに著作権保護された楽曲を適切な手続きのもとで使用したとしても、それを店頭の動画POPなどで二次利用する場合は、別途、手続きをする必要があります。

Q. 社内イベントで流す映像だったら楽曲を無断で使用してもいい?

JASRACが管理する楽曲に関しては、「事務所・工場等での主として従業員のみを対象とした利用」において、「営利を目的としていても、当分の間、使用料を免除」され、手続きも不要とされています(参考)。

ただし、その社内イベントの様子を誰かが撮影し、著作権保護されたBGMが含まれる動画を無断でYouTubeやソーシャルメディアにアップロードした場合、著作権侵害を問われる可能性があるため、社内用動画であっても、あくまでルールに則り、適切に扱うことが求められます。

参考サイト:音楽作品を利用される場合の手続き等(JASRAC)

動画のオンライン配信

Q. どんな映像でも配信できる?

YouTubeやVimeoなどの動画プラットフォーム、あるいはFacebookやTwitterなどのソーシャルメディア(以下、「メディア」と総称します)では、本記事で述べてきたような権利がすべてクリアになった映像しか投稿できません。違法な点が見つかった時点で自動的に削除されることになっています。

反対に、もし自社の映像コンテンツなどの著作物が、他人に違法利用されていることを発見した場合は、メディア側に申告することで削除してもらえる場合があります。

Q. メディア上に投稿した映像の著作権は誰のもの?

メディアに映像などの著作物をアップロードした瞬間、使用・複製・改変・配信などの一切のライセンスをメディア側に提供することになります(著作権自体は制作者に属します)。つまり、動画投稿後は各メディアが定める条件に基づき、あらゆる場所で公開される可能性を持ち、それらをコントロールすることは基本的にできません。またメディア自体が、アップロードされた動画を自社のコンテンツ素材としてプロモーションなどに使用する可能性もあります。その意味でも、映像制作段階で著作権などをきちんとクリアしておくことが重要なのです。

各メディアはそれぞれ利用規約を制定しています。利用前にその内容をきちんと把握しておきましょう。

主要メディアのサービス利用規約
・YouTube   ・Vimeo(英語のみ)
・Facebook   ・Twitter   ・Vine(英語のみ)

社会的に企業コンプライアンスへの意識が高まる今、動画を制作する際にもルールひとつひとつに対して十分に配慮し、適切な動画マーケティング活動を行うことが求められます。今回ご紹介したようなルールや対応策は、プロである動画制作会社がよく理解していますので、不明な点があれば積極的に相談すると良いでしょう。