意外と多い! 我が子に「犬のしつけ」をしている親が“怒りん坊”な訳

写真拡大

子どもが騒いだとき指を口元に当てて「シー、シー」と言ってみたり、「○○!(呼び捨て)」「○○ちゃん!!」「○○君!」と名前だけを大声で呼んだりしていませんか?

今が楽でも将来苦痛に… “餌で釣るしつけ”のNGライン

これは犬に対して「お座り!」「ポチ!」と命じているのと同じ。あまり変わり映えがしませんよ。

しかも、実際は子どもは賢いので犬のように都合よく行かないものなのです。

『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子がお話します。

条件反射として覚えさせようとしていませんか?

■・パブロフの犬

犬にエサを与えるときに必ずベルを鳴らすようにしたところ、エサが無くてもベルを鳴らすと犬がよだれをたらすようになる実験です。パブロフ博士が1902年に発見。条件反射の喩えとして用いられている言葉です。

これと同じように子ども自身が“なぜ、そうしなくてはならないのか”の反省することなく親の「こら!」「ダメ!」の号令に条件反射することがあります。「太郎!」「花子!」と子どもの名前だけを呼んでいるケースも同じですよね。

子どもは言われた一瞬は言葉に反射して静かにしていますが、数秒もしないうちにまた同じことを繰り返します。

何事も動機付がポイントです。ですから、こんな時は子どもが心から納得するように導くとうまく行きますよ。

子どもが不満タラタラになる訳

親と子どもの関係では親の方が強い立場です。だからといってただ命令するだけでは、子どもの心にはモヤモヤしたものが残ります。

例えば、会社での会議や幼稚園、保育園でのPTAの会合で話し合う場があります。育った環境や立場の違い、今いる家庭環境でみんなそれぞれ思いがあります。そんなとき自由に意見を出し合う場なのに力の強い上司やまとめ役のママから「それは違います!」と否定されたり、こちらの言い分を聞いてもらえなかったらどうでしょう。
また、意見を言い終わっていないのに話の腰を折られたらどんな気持ちがするでしょう。

決定権のある人には従わなくてはならないのでその場は黙って引き下がりますが、納得はできないとモヤモヤしたものが残るものですよね。

子どもだって同じです。親にとってはその時、それをやられたら困ることになりますが子どもはそれがしたいのです。子どもは間違っている訳ではなく、その場の状況をわかっている親の主張と意見が異なるだけなのです。

例えば、公園の砂場で他の子どもが使っている玩具を欲しがったり、「スーパーでお菓子買って」と騒いだりします。これは立派な意見であり主張です。

こんなとき「ダメ!」「止めなさい!」「こら!」「いい加減にしなさい!」とママから怒鳴られたら、親が怖いので渋々言うことには従いますが、納得はしていないので心の中は不満タラタラ。だから、また同じことを繰り返します。

年中無休の“怒りん坊ママ”にならないためには?

では、子どもが「仕方がないな。我慢しよう」と心から納得するにはどう対応すればよいのでしょうか。それはまず、子どもの気持ちを言葉に出して受け止めてやることです。

■○他の子どもが使っている玩具を欲しがったとき

子ども「あれで僕も遊びたい!」

ママ「なんだか面白そうな玩具だね。あれ貸してほしいよね。でも、残念だけど今は○○ちゃんが使っているから待っていようね」


○病院の待合室で走りまわるとき

子どもが走り回っている。

ママ「お家より広くて走りたくなるよね。でも、病院はお腹や頭が痛い人が来ているの。だから口を閉じて、椅子に座って待っていようね」

■○スーパーでお菓子をほしがり地べた泣きしたとき

子ども「お菓子買って!買って!」

ママ「このお菓子美味しそうだね。食べてみたいね。でも、今日は夕飯のお買い物に来ただけだから、買わないよ」

子どもなので、こう説明されたからと言って「はい、はい、そうですね。わかりました」と引き下がらず、素直に従わないかもしれません。でも、ぐずっていたとしても泣きながら心の整理をして“自分の思い通りにはいかない理由”を理解していきます。

確かに「こら!○○!」と怒鳴って済ませるとその瞬間は短い時間で済みますが、子どもは”それをしてはならない理由”をわかっていないので、結局、親は365日年中無休で叱るようになります。
でも、子どもが納得するように説明すれば、その時は時間はとられますが結局は近道です。

しかも、親がいないところでも”なぜ、そうしなくてはならないのか”がわかっているので悪いことはしなくなるんですよ。

まとめ

人間は命令されるよりも自分自身で納得してはじめて行動ができます。

「やめなさい!」「ダメ!」「こら!」の命令ではなく、子どもの主張をまず聞いてやった上で、一人の人間として一人前扱いして話をしてあげましょうね。

だって犬ではないのですから・・・