エリザベス女王が、昨年10月に英国を公式訪問した中国の習近平国家主席一行について「とても失礼だった」と発言。その映像が公開されて、波紋を広げている。写真はバッキンガム宮殿。

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2016年5月14日、「とても失礼だった」。テレビのマイクに拾われた英国のエリザベス女王の発言が尾を引いている。女王の発言は昨年10月、中国の習近平国家主席が英国を公式訪問した際の中国側一行について言及する中で飛び出した。誇り高い大英帝国の“本音”がのぞいた格好で、映像公開は意図的なリークとの説もある。

発言の舞台は、女王の生誕90歳を祝い、バッキンガム宮殿で10日に開かれた園遊会だった。BBCなどによると、女王は習主席一行の対応で総指揮に当たったロンドン警視庁のルーシー・ドーシー警視長を紹介されると、「運が悪かったですね」と反応。

さらに、随員が「(ドーシー警視長たちは)中国側に非常に、非常に業務を妨げられたが、(警視長は)決して揺らぐことなくすべてをまとめ上げた」と説明すると、女王は「あの人たちは大使にとても失礼でした」(They were very rude to the Ambassador)と、中国駐在のバーバラ・ウッドワード英国大使に対する中国側の行動を批判した。

これに対し、ドーシー警視長が「はい、とても失礼で、外交的ではありませんでした」と述べ、中国使節が会合の席を立って退場した一件について話すと、女王は「なんということでしょう」と答えたという。

BBCは「習主席の公式訪問は経済関係強化が主眼で、英中関係の『黄金時代』の幕開けとなるというのが、去年の時点での政府の公式見解だった」と指摘。その上で「舞台裏では実はかなり厳しいことになっていたと、王宮園遊会での会話のおかげで知ることができた」と解説した。

女王発言について、英王室担当者は「女王の個人的な会話内容についてコメントしない」とする一方で、習主席の公式訪問は「大成功で、つつがなく進行するよう関係当事者は誰もが緊密に協力し合った」としている

一方、中国外交部の陸慷(ルー・カン)報道官は11日の定例記者会見で、女王発言に関する質問に対して発言に直接触れるのを避けながら、「昨年10月の訪英は非常に成功した。これに関しては中英両国で認識が一致している。中英両国はこの成功のために努力を惜しまなかった」などと強調。平静を装った。

しかし、AFPによると、中国共産党系の環球時報は12日付の社説で、英メディアがこの発言を大げさに取り上げ、まるで「最も貴重な宝物」であるかのようにこの動画をほめそやしている、と非難。女王の発言を伝えるBBCのニュース映像は、中国国内では例によって画面が真っ黒になり、放送が遮断された。

女王のこうした発言が映像とともに表に出るのは、極めてまれ。英メディアは専門家の話として、「王室周辺では英米関係を重視する女王が中国に傾斜するキャメロン政権をいさめる狙いで発言したとの観測が浮上している」とのリーク説を紹介している。(編集/日向)