大学で日本語を学ぶ人も少なくないが、留学の機会がない多くの学生にとっては、大学で出会う日本語教師が初めて見る日本人だというケースも多い。四川外国語大学の宋文妍さんは、自身の日本人の先生について、作文に記している。資料写真。

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日本語を学ぶ外国人は世界に400万人おり、中国人が最多だと言われている。大学で日本語を学ぶ人も少なくないが、留学の機会がない多くの学生にとっては、大学で出会う日本語教師が初めて見る日本人だというケースも多い。日本語教師は単に語学を教えるだけでなく、日本を代表している存在だとも言えるのではないか。四川外国語大学の宋文妍さんは、自身が出会った日本人の先生について、作文に次のように記している。

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「先生、それは何?」。私は先生のお宅を訪ねた時、積み重ねてあったファイルを指さして聞いた。「これは、日本語学校や日本の大学のパンフレットだよ」と先生は答えた。「先生は転職するの?」と聞くと、「君はそんなに僕の事が嫌いなの?早く転職してほしいんだ?」とニコニコしながら答えた。

私の学部には、日本人の先生は3人いらっしゃる。その中の1人の「すごい先生」は、学生の「情報センター」も担当している。学生のうわさ話から、進学や就職、留学の事など、この先生に聞けば手に入らない情報はない。外国人教師なのに、学部にいる中国人の先生の誰よりも学生一人一人のことを把握していて、本当に頼りになる先生だ。

この先生のすごいところがもう一つある。それは、学生に対してはよくご馳走しているのに、自分に対して全くお金を掛けないことだ。食事も簡単に済ませているし、携帯電話が壊れても、買い換えたり、修理に出したりもしない。それには理由がある。先生は、いつも日本に帰国したら、全国に留学している教え子たちを訪ね回る。中国の給料で働いているため、物価の高い日本を旅行するのは大変だ。私の大学と提携を結んでいる日本語学校や大学はたくさんある。そこに留学したい学生たちのために、交通費も宿泊費も全て自分のお金で、毎年、日本各地を回り、学校や留学している学生から状況を聞いて、後輩たちにその情報を教えてくれる。

私は以前、「なぜそこまでしているのですか」と聞いてみたことがある。すると先生は、「一生懸命頑張っている学生たちの力になりたいからです」と答えた。これらは「余計なこと」のように感じるが、先生は学生から依頼されたら断ることができない性格のようで、どんなことでも引き受けてしまう。授業やスピーチ原稿の添削、発音練習はもちろん、学生たちの進路相談や留学の手伝い、さらにすでに社会人になった教え子からの仕事の手伝いなど、とにかく何でも引き受けてしまう。睡眠時間を削り、自分のお金を掛けてでもである。

先生の「余計なこと」は、私たち学生にとっては本当にありがたいことで、言葉で言い表せないほど学生の皆が感謝している。しかし、いつも私たちはその先生に世話になってばかりいるので、たまには私たちも先生に「余計なこと」をしてあげなくては、と思っている。先生は今年で42歳になるのに、いまだに独身なのである。彼女すらいない。そこで私は考えた。実は、私には未婚のきれいな姉がいるのだが、今度、先生にその姉を紹介してあげようかと思っている。しかし、そんなことをしたら「余計なことだ」と言われて、怒られてしまうかもしれない。私だけでなく、多くの学生が先生に「余計なこと」をしてあげたいと思っている。先生、たまには自分のことも考えてください。(編集/北田)

※本文は、第十一回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「なんでそうなるの?中国の若者は日本のココが理解できない」(段躍中編、日本僑報社、2015年)より、宋文妍さん(四川外国語大学)の作品「わたしの先生はすごい」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。