13日、国連海洋法条約に詳しい河野真理子早稲田大教授が「南シナ海領有権問題」をテーマに講演。フィリピンが中国を相手取って起こした仲介裁判手続きについて、近くフィリピンの主張に配慮した判決が出される可能性があるとの見通しを示した。

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2016年5月13日、国連海洋法条約に詳しい河野真理子早稲田大教授は、「南シナ海における領有権問題」をテーマに日本記者クラブで講演。フィリピンが中国を相手取って起こした仲介裁判手続きについて、国際仲裁裁判所(本部=オランダ・ハーグ)は昨年10月末、同裁判所に管轄権があるとの判断を示したと指摘。近くフィリピンの主張に配慮した判決が出される可能性があるとし、その場合「中国は国際社会の圧力にさらされる」との見通しを示した。発言要旨は次の通り。

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中国は(1)南シナ海の多くのエリアを囲む「九段線」は歴史的な中国の歴史的な権利である、(2)国連海洋法条約は領土問題を扱っておらず整合性が取れない―などの問題点を指摘、審査をボイコットしている。判決が出ても無視する構えだ。

仲裁裁判所は政治的に配慮する傾向にあり、(強く)言い過ぎるような判決は出さないだろう。ただ仲裁裁判所の判決に従うことが国際法上の義務となっており、中国は外交・司法面での圧力にさらされる可能性がある。即効性はないが、日本としてもウオッチし厳しく順守せよと言い続けることは意味がある。

フィリピンは「南シナ海における中国の請求の根拠として、中国が利用している様々な海洋地形物は排他的経済水域と大陸棚を有する島ではなく、それらのうちのいくつかは、国連海洋法条約第121条3項に規定される「岩」であり、低潮高地や恒常的に海面下にあるものだ」と主張。中国の「最近の大規模な埋め立て工事はこれらの海洋地形物の元の性質と性格を合法的に変更しうるものではない」と提訴している。

日本が構造物で護岸している沖ノ鳥島は「島ではなく岩礁であり、排他的経済水域(EEZ)を主張するのは国連海洋法条約の規定違反」と中国や台湾から批判されている。(南シナ海の埋め立て問題と同様との見方もあり)比較されれば日本にとって厳しいところだ。(八牧浩行)