水上学校のイケメン先生が日記を通じて恋に落ちる感動作! タイ映画『すれ違いのダイアリーズ』の監督に直撃インタビュー!!

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[公開直前☆最新シネマ批評・インタビュー編]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品の監督を直撃インタビューします。

今回、直撃インタビューしてきたのは、タイ映画『すれ違いのダイアリーズ』(2016年5月14日公開)のニティワット・タラトーン監督です。

本作はタイで大ヒットし、米・アカデミー賞外国映画賞のタイ代表になった作品。日本では2014年の東京国際映画祭や「したまちコメディ映画祭 in 台東」でも特別上映され、満を持していよいよロードショーです。

水上学校の教師が、日記に癒され、その日記の持ち主に恋をする……という王道のラブストーリーながら、恋愛、女性の生き方、教育など様々なエピソードが心に残る『すれ違いのダイアリーズ』。プロモーションで来日したニティワット・タラトーン監督に聞いてきました。

【物語】

体育教師になろうと面接を受けたタイの男性、ソーン(スクリット・ウィセートケーオ)は即採用となり、山奥の水上学校の教師に赴任します。

月曜から金曜まで水上学校で生活しながら、子供たちに勉強を教えるという任務。生徒は町の学校には遠くて通えない漁師の子供たちで、彼らも先生と一緒に生活を共にします。

いきなり水上学校の教師になり、とまどうばかりのソーンは、ある日、前任の先生が忘れて行った日記を見つけます。それは、女性教師エーン(チャーマーン・ブンヤサック)が残したもの。エーンは水上学校での出来事や悩みを日記に綴っていました。

それらに心癒され、学びも得たソーン。そして彼はいつの間にか、会ったこともないエーンに恋してしまうのです。

【ソーン先生の体験は実話です!】

実はこの映画は、二つの実話を繋げた物語。水上学校のエピソードは、実際に水上学校で子供たちを教えていた教師の実話、恋愛エピソードは、日記を通じて結ばれたカップルの実話をもとにしています。

ソーン先生にモデルがいた!というわけで、さっそくモデルになった先生のことから、タラトーン監督に聞いてみました。
――主人公ソーンにはモデルとなった人物がいるそうですね。どんな方なのでしょうか?

タラトーン監督「映画と同じように水上学校で生徒たちを教えていたサーマート先生(男性)という方です。とてもやさしく真面目な方ですが、サーマート先生もソーンと同じように、最初から水上学校の生徒たちに自分を捧げるつもりはなかったと言っていました。でも子供たちに会ったら、この子たちに知識を与える人がいないと感じ、それを自分がやってみようと思ったことが、水上学校の先生になったきっかけだそうです」

――映画のソーン先生は明るくてちょっと天然でお茶目な一面もありますが、サーマート先生とは似ていますか?

タラトーン監督「教育に対するやる気とレスリング経験者というところは一緒ですが、ソーンは映画のキャラなので、ユーモラスな一面を加えました。とはいえ、ソーンが水上学校で体験する様々なエピソード、例えばヘビが出てきたり、嵐になったりというシーンは、サーマート先生の体験をもとにして描きました」

――ソーンを演じたビー(スクリット・ウィセートケーオの愛称)は、タイでは大スターなんですよね!

タラトーン監督「素顔はスターというより、素朴で普通の青年ですよ。ただ何かを成し遂げようとするやる気、ファイトが凄いんです。彼はオーデョション番組「ザ・スター」をきっかけにデビューしたのですが、僕は彼の瞳にやる気を感じたので、この役に選びました。とても明るくユーモラスで子供ともうまくやってくれましたね。ソーンの明るさはビーから、真面目さはサーマート先生のキャラクターから生まれています」

【電気も水も携帯もつながらない大自然の中での撮影】

――水上学校というのが珍しくて興味深かったのですが、撮影は大変でしたか?

タラトーン監督「僕たち撮影クルーも、実際にサーマート先生が水上学校で経験したことと変わらない生活の中でやっていました。何しろ電気、水もないし、携帯も繋がりませんでしたから。トイレもわざわざ岸まで移動しないといけない状況だったのです。

なんでそんな遠くで撮影したのかというと、何もない場所でやりたかったのです。できるだけ主人公が置かれている状況に自分たちを置いて、大自然やその中でも孤独をきちんと伝えたかった。携帯がないのは大変でしたが、かえって自分たちのことを見つめ直す機会を得ました。そうやって連絡を取れない状態にすることで、孤独も感じることができますし……。誰かを想う気持ちをみんなで精一杯感じることができましたよ」

――撮影クルーもキャストもみんなでソーンと同じ気持ちを抱えていたんですねえ。ところで、水上学校で先生は勉強を教えるだけでなく、子供たちのお世話もするのに驚きました!

タラトーン監督「実際の水上学校も、映画と同じく月曜日に親が子供を送ってきて、金曜日夕方に迎えにくるというスケジュールなのです。先生は食事も作るし、子供の世話もする。それが水上学校の先生の仕事なのですよ」

【エーン先生の生き方はタイの女性らしい?】

――エーン先生の水上学校での生活も描かれていますが、ソーン先生よりも賢く(笑)、教え方も上手ですね。彼女は校長先生を前にしても自分を曲げない強さもあります。彼女のような女性はタイには多いのでしょうか?

タラトーン監督「エーン先生は自分に自信のある女性の代表みたいなタイプですね。タイも、かつては女性が家を守るという考えでしたが、最近は優秀な人はどんどん社会進出していきます。性別ではなく能力があれば認められるのが、今のタイ社会だと思いますよ」

――ソーン先生とエーン先生は日記繋がりですが、エーン先生には長く付き合っているヌイ先生という彼氏がいて、ここで波乱含みの恋愛エピソードがありますね。

タラトーン監督「そうですね、エーンとヌイには話し合いの機会を作りました。長い付き合いでも話し合わないとわからないこともあり、考え方が合うかどうかを確かめさせたかったのです。二人を取り巻く他の男女の存在よりも、二人の関係はこれでいいのかと話し合うのが重要でした」

――なるほど〜。ネタバレになるので多くは語れませんが、ソーン先生とエーン先生の関係はワクワクします。

タラトーン監督「この映画は見終ったあと、観客の皆さん同士で話し合っていただきたいです。二人の関係について。ソーンとエーンは似た者同士ですが、そういう男女はうまくいくかなど、みなさんが考えたり、話したりできる余白を作ったつもりです。大いに語り合ってください」

タラトーン監督はニコニコ笑顔が素敵な紳士。水上学校の現実と同じ状況を作りだして撮影に臨むなど、超マジメで誠実な人柄が、映画にもにじみ出ています。

果たしてソーンはエーン先生と会うことができる? 感動とドキドキとキュンがつまった『すれ違いのダイアリーズ』を見て、友だちや彼氏と感想を語りあいましょう!

撮影・取材・文=斎藤 香(C)Pouch

『すれ違いのダイアリーズ』
(2016年5月14日より、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー)
監督:ニティワット・タラトーン
出演:スクリット・ウィセートケーオ、チャーマーン・ブンヤサック
(C)2014 GMM Tai Hub Co., Ltd.

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