アメリカ版『フォーブス』の2016年度世界長者番付には27人の日本人の名前がある。その日本人のなかで7位(4070億円)の伊藤雅俊・セブン&アイ・ホールディングス名誉会長は、イトーヨーカ堂の創業者である。

「『お客様は来てくれないもの』『取引先は売ってくれないもの』という商売の厳しさを経営の基本に据えてやってきた人で、役員クラスの古参社員のなかにはいまも伊藤氏を慕う人間が多い。今回の鈴木敏文氏の会長辞任劇を見ると、伊藤氏の影響力の大きさを痛感させられます」(月刊『BOSS』編集委員・関慎夫氏)

 鈴木氏はランク外だけに、同じ名経営者でも創業者か否かで資産額に大きく差が出ることがよく分かる。

 続く8位(3960億円)はABCマートの創業者で元会長の三木正浩氏。昨年、日本テレビの上重聡アナへの利益供与問題で話題になった。三木氏はロンドンで「ホーキンス」のブーツに出会い、「これは日本で絶対に流行る!」とホーキンス本社に出向いて直接交渉し、独占販売権を得たことで急成長を実現した。

 高原慶一朗・ユニ・チャーム会長(8位)は、生理用ナプキンやタンポン、紙オムツなど衛生用品の製造販売で市場を開拓、世界的な企業に育て上げた人物だ。

「『生理用品を手掛けるのは恥ずかしい』という社員に、『日陰者扱いされる風潮こそおかしい。そんな遅れた意識を払拭するためにも、いいものを作って、日本一になろう』と説得したというエピソードがあります。それがいまやP&Gとも互角に戦うグローバル企業なのだから凄い」(経済ジャーナリスト・片山修氏)

 12位(2490億円)の永守重信・日本電産会長兼社長は1973年に同社を設立し、精密小型モーターなど各種モーターで事業を拡大してきた。

「元日の午前中を除き、1年365日働くというカリスマ経営者です。永守氏のリーダーシップが強すぎるので、毎年、アナリストから『永守さんがいなくなったら会社はどうなるのか』という“永守リスク”の質問が必ず出るほど」(岡山商科大学教授・長田貴仁氏)

 13位(2260億円)の似鳥昭雄・ニトリ会長、17位(1470億円)の安田隆夫・ドン・キホーテ元会長、19位(1240億円)の島村恒俊・しまむら元社長の3人は、商品の低価格化で成功したという共通点を持つ。

「安田氏は、商品を縦横のスペースいっぱいに積み上げる『圧縮陳列』でドン・キホーテを一躍人気店にし、敷居の低さで集客性を高めた。島村氏は『商品回転率を基準に品えを考える』という理念で徹底的に安さを追求し、『しまラー』という流行語を生むまでに成長させた。『お値段以上』のニトリも同様で、大衆を味方につけることで成功しました」(片山氏)

※週刊ポスト2016年5月20日号