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●「歯肉炎だから歯磨きを控える」では意味がない
歯茎からのちょっとした出血のつもりが、そのままにしておくと静かに症状が進行して歯周炎などへとつながる歯肉炎。重篤な症状が出てしまう前にできるケアにはどのようなものがあるだろうか。

今回は、M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長の今村美穂医師に、自宅で簡単にできる対策から歯科でできる最新の治療法まで、歯肉メンテナンスのノウハウを教えてもらった。

○歯肉炎ケアの基本はきちんとした歯磨き

歯磨き時に血が出てきてしまったので、歯茎を傷つけないためにもそれからしばらくは歯磨きを控えめにした経験はないだろうか。実は歯肉炎の度にこのような"対症療法"に終始してしまっては、全く意味がないと今村医師は話す。

「血が出てしまう原因を知って、それに対応した歯磨きをしていかなければなりません。ご自分にあった歯磨きスタイルを作って、それで磨き残しがないかどうか歯科医院でチェックしてもらうといいと思います。そうやって確立したスタイルを励行していただくのが一番です」。

歯肉炎を歯周炎へと悪化させないためにも、まずは歯科医院で血が出る原因を究明し、それから自分に合った歯磨き方法を指南してもらうことが重要だ。その際、よく磨けるように電動歯ブラシやフロス、洗口剤などを活用するのもよいが、やはり使いこなせないと意味がない。

「電動歯ブラシについては、すごくいい製品を使っている方でも、ヘッドの大きさなどから奥歯にちゃんと届いておらず、きれいに磨けていない患者さんもいらっしゃいました。機器は高度化しているんですが、使いこなせている方は意外と少ないと思います」と今村医師。

洗口剤も殺菌効果は高いが、すぐに口腔内環境は元通りになってしまう。食後すぐに外回りや会議があり、歯磨きまで時間が空いてしまうときなどの「つなぎ役」として活用するといいだろう。

○歯磨き粉の"3刀流"も有効

磨き残しがないかを可視化しやすくするため、歯の汚れに色を付けるという方法もある。実際、既に日本でも汚れに色をつける歯磨き粉が市販されているという。

また歯磨き粉は、プラークコントロールを目的としたもの、歯肉炎の細菌などに対する殺菌効果のあるもの、虫歯に対してよい効果のあるものなど、いろいろな種類のものが今は販売されている。

そこで、「朝はプラークコントロール用」「昼は虫歯対策用」「夜は歯肉炎対策用」などと使い分けると、「口のトータルケア」が期待できそうだ。ただ、うがいをしすぎてしまってはせっかくの高濃度の薬効成分も口腔内に定着しづらい。口のゆすぎすぎには注意しよう。

●マウスピースを用いる治療法「3DS」の効果
歯磨きなどのケア以外でも、歯肉のために積極的に摂取したい栄養素がある。それは、オレンジやレモンといったフルーツなどに多く含まれているビタミンCだ。

「ビタミンCはお肌のためにサプリなどで毎日摂(と)っていらっしゃる方も多いですが、歯肉にもとてもいいものです。ビタミンCは血行の循環をよくしてくれるので、炎症があった歯肉の治癒を促進することが期待できます。また、ビタミンCはコラーゲンを増やしてくれますが、コラーゲンがあれば歯肉の修復がより早くなります」。

○歯肉炎対策以外にも使える3DS

手軽にできるホームケア術もいいが、いざというときはやはり医師にきちんとした治療をしてもらう必要がある。

歯肉炎治療は、炎症部分の歯石やプラークを取り除いたうえで、殺菌効果のあるものを入れて炎症を治めていくという方法がスタンダードだ。だが一度改善しても、歯並びの問題などから再発してしまうケースも少なくない。

そのようなケースに有効的な方法として注目されているのが、日本ではまだあまり知られていない「3DS(Dental Drug Delivery System)」だ。

「3DSは、マウスピースを使って薬剤を定着させる方法です。薬剤が浸透する時間を設けることで、口腔内の環境をよくしていくことができます。例えば、唾液量が減ってしまう睡眠中に、マウスピースを入れて寝ていただくことで清浄効果を高められます」。

この専用マウスピースは、歯科医院などで短時間で作成可能。自分の歯に合わせて作るものなので、一度作ってしまえば歯科医院で専用の薬剤を買い足すだけで長く使えるメリットも。

耐久性にも優れ、厚さも自分でオーダー時に調整できる。例えば、いつも歯を食いしばったり、歯ぎしりが強かったりする人の場合、素材をやや厚めにできる。そういったクセがない人の場合、1mm以下のもので対応できるとのこと。

さらには歯肉炎対策だけでなく、薬剤を変えることでホームホワイトニングなど別の用途にも使える。オーラルケアの一環として、1つ作っておくのもよいのではないだろうか。

※写真と本文は関係ありません

○記事監修: 今村美穂(いまむら みほ)

M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長、MIHO歯科予防研究所 代表。日本歯科大学卒業、日本大学矯正科研修、DMACC大学(米アイオワ州)にて予防歯科プログラム作成のため渡米、研究を行う。1996年にDMACC大学卒業。日本矯正歯科学会認定医、日本成人矯正歯科学会認定医・専門医。研究内容は歯科予防・口腔機能と形態及び顎関節を含む口腔顔面の機能障害。MOSセミナー(歯科矯正セミナー、MFT口腔筋機能療法セミナー)主宰。

(宮崎新之)