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富士通は5月12日、顧客の新たな事業やサービスの創出を支援する共創サービスを体系化し、提供を開始すると発表した。

発表会の冒頭で、取締役執行役員専務 グローバルサービスインテグレーション部門 部門長の谷口典彦氏は、「デジタル時代は、企業で利用するシステムを"SoR(Systems of Record)"と"SoE(Systems of Engagement)"の2つに分けて考える必要がある。SoRはいわゆる基幹システムを指し、SoEはイノベーション創出のためのシステムを指す。SoEでは、情報収集・問題発見、アイディア創出、サービスの実装というサイクルをアジャイル型で高速に繰り返す必要がある」と説明した。今回、提供が開始されるサービスはSoEに関連したものとなる。

同サービスは、同社が昨年発表したインテグレーション・コンセプト「FUJITSU Knowledge Integration」を具現化するもので、「SoRとSoEを包含し、同社のSEが蓄積してきた知見を実装している(谷口氏)」という。

谷口氏は、「これまでも共創に関連したサービスを提供してきたが、バラバラだったので、今回、数多くの実践結果から体系化を行った。富士通自らが実践している点が特徴と言える」と説明した。

同社は今年4月、デジタルビジネスの推進に向け、実行体制を整備したことも明らかにされた。従来のグローバルデリバリー部門とインテグレーション部門を統合して「グローバルサービスインテグレーション部門」が設立され、傘下に「グローバルデリバリーセンター」と「デジタルビジネス推進室」が置かれている。

グローバルデリバリーセンターには、海外の8000人のSEと国内の4万人のSEが属し、コラボレーションを行っていく。一方、デジタルビジネス推進室は「顧客との共創による新たなビジネスのプロデュース」と「社内に対する新技術の活用フィードバック」という役割を持つ。

共創サービスの具体的な内容については、グローバルSI部門 グローバルSI技術本部 本部長の中村記章氏が説明を行った。

共創サービスは、共創のプロセスである「情報収集・問題発見」「アイデア創出」「サービスの実装」に沿って、新しいプログラムとサービスの提供が開始される。

今回、体系には既に提供されているサービスも含まれており、サービスプログラムとして「ハッカソンチャレンジプログラム」「デザイン思考プログラム」「リーンスタートアップ実践プログラム」が5月12日に提供が始まり、サービスとして「クラウドソーシングサービス」が5月下旬に提供が開始される予定だ。また、共創実践の場として、「FUJITSU Knowledge Integration Base PLY」が5月23日に開設される。

ハッカソンチャレンジプログラムは、着想のためのインプットから、アイデア創出、チーミング、プロトタイピング、フィードバックという一連のハッカソンのプロセスや効果的な共創活動のメソッドを短期間で体感できるプログラムだ。アイデア創出や発想の転換を促すメソッドを提供し、新規事業のアイデアを素早く見つけたい、あるいは、共創人材を育てたいという顧客を支援する。

デザイン思考プログラムは、顧客と同社のSEが、フィールドワークやワークショップ、簡易プロトタイピングによるユーザービリティテストなどを通してアイデアのブラッシュアップを行うプログラム。同社のSEが参加することで、ユーザーに価値を感じてもらえるコンセプトやプロダクトアイデアの創出、あるいは自社目線ではなく、顧客目線に立ったアイデアの創出を支援する。

リーンスタートアップ実践プログラムは、リーンスタートアップの考え方を学び、仮説→検証→判断によるアイデアブラッシュアップを繰り返すプログラム。リーンスタートアップの手法を活用し、新規事業アイデアの実現を支援する。

クラウドソーシングサービスは、顧客の要望や要件に最適なクラウドソーシング・プロバイダーを選定し、活用をサポートする。

FUJITSU Knowledge Integration Base PLYは、同社、パートナー、顧客が共創を実践する場として富士通ソリューションスクエア内に開設される。PLYにはプロトタイプの作成などに利用できる3Dプリンタなどが設置され、具体的には、アイデアソンやハッカソンなどの共創活動、アジャイルの実践、仮説検証のためのプロトタイピング、アイデアの魅力を伝えるピッチイベントなどの活用が想定されている。

執行役員 グローバルSI部門 金融システム事業本部 本部長の時田隆仁氏は、イノベーション創出のアプローチには2種類あるとして、その詳細を紹介した。

1つは、APIを活用することで、できるだけ変更を加えずにSoRのスリム化を図りつつ、SoEのビジネスを立ち上げるという手法で、ミッションクリティカルなシステムを運用する金融業などで採用されることが多いという。

もう1つは、機能単位でSoRをスリム化し、最適化されたSoRとSoEをスピーディーに連携させて、デジタル変革を実現する手法だ。

時田氏によると、金融分野ではすでに今年3月にデジタル関連のサービスの提供が開始されているが、健康・医療・福祉分野は5月より拡充予定、産業分野は9月に発表予定、地域サービス・公表分野は「Unified-One」を2016年10月より拡充予定、INTERCOMMUNITY21を2017年1月より拡充予定だという。