『殿、利息でござる!』 (C)2016「殿、利息でござる!」製作委員会

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【週末シネマリサーチ】後編
〜意外なところにヒットの秘密が!〜

◆『殿、利息!』は号泣作品
豪華ハリウッド作品にも注目!

〇【3位予想】『殿、利息でござる!』
歴史家・磯田道史氏の著書「無私の日本人」に収録されている一遍「穀田屋十三郎」を、中村義洋監督、阿部サダヲ主演で映画化。江戸時代中期、貧困にあえぐ仙台藩領地内にある吉岡宿で造り酒屋を営む穀田屋十三郎は、町の行く末を案じ、藩に大金を貸して利息で町を救おうという計画を進めるのだが……。

磯田氏の評伝の映画化は、10年に公開された『武士の家計簿』(アスミック・エース/松竹)があるが、全国239スクリーンで公開され、初週土日動員は13万1000人という結果。中村監督&阿部のタッグは、『奇跡のリンゴ』(13年/東宝)が全国305スクリーンで公開され、初週土日動員10万7000人という数字を出している。阿部主演映画では、『謝罪の王様』(13年/東宝)が全国312スクリーンで公開され、初週土日動員20万6000人。

本作は、フィギュアスケート選手・羽生結弦が仙台藩主・伊達重村役でスクリーンデビューを飾ったことでも大きな話題となっており、5月4日に行われたトークショーでは、羽生と同じ舞台でしのぎを削った先輩・織田信成が出席。織田信長の末裔として「殿といえば僕」と発言し、メディアを賑わせた。プロモーションも積極的で、公開に向け認知度は上がっている。ポスタービジュアルなどをみるとポップなイメージがあるが、号泣する鑑賞者が続出するなど、非常に重厚な感動物語の一面もある。口コミでの広がりは大いに期待できる作品。劇場公開数は約310館。“時代劇”というパッケージなので、どこまで初動があるかは微妙だが、10-15万人は十分集客できるだけの力はありそう。

△【8位予想】『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』
あんど慶周の人気コミック「究極!!変態仮面」を鈴木亮平主演で実写映画化した『HK 変態仮面』(13年/ティ・ジョイ)の続編。鈴木ほか清水富美加、ムロツヨシ、安田顕らのメインキャストが続投するのをはじめ、柳楽優弥、水崎綾女らの新キャストも登場し、さらなる狂気的な変態の世界を演出する。

前作はわずか12館からのスタートだったが、約1ヵ月で興行収入1億円を突破するなど、奇跡的なヒットを遂げた。本作は現時点で50館以上の劇場を確保しており、スタート時点からして大きく環境が異なる。「真面目にやればやるほどくだらなくて面白くなる作品」と鈴木が公言しているように、コラボ企画も真面目でくだらない。プリントシール機「CHOOSE!」では、パンティを被っているような変態写真を撮ることができ、求人情報サイト「an」では、初日舞台挨拶での“変態警備隊”を募集するなど、非常にユニークだ。また、TOKYO MX、テレビ大阪、メ〜テレで、『HK 変態仮面』の地上波放送が決定! 上位は300館近くでの上映のため、太刀打ちするのは厳しいが、前作同様、日本映画界に旋風を巻き起こす可能性は大いにある。

【注目シネマ】
*『ヘイル、シーザー!』
ジョエル&イーサン・コーエン兄弟の最新作。1950年代のハリウッドを舞台に、ジョージ・クルーニー演じる大スターが何者かに誘拐されてしまうところから始まるドタバタ劇をブラックユーモアを交えて描く。クルーニーの他、ジョシュ・ブローリン、スカーレット・ヨハンソン、チャニング・テイタムらが出演。

コーエン兄弟は日本でもファンが多く、公開されると一定の集客が見込める。本作は約30館からのスタートであるため、ランキングに入ってくる可能性は低いが、約40館で公開された『ノーカントリー』(08年/パラマウント、ショウゲート)は、アカデミー賞受賞という効果もあってか、初週土日動員3万1000人を記録し、11位という結果を出した。本作も出演陣は豪華で、作風もコーエン兄弟らしい。動向には注目したい映画だ。(文:磯部正和/映画ライター)

磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

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