(写真・AFLO)
4月下旬の昼下がり。カナダ・トロントにあるクラブに現れた羽生の姿を見て、居合わせた選手のひとりは息を呑んだ。左足はしっかりと固定されており、両手に松葉杖。痛々しいその姿は、治療の状態が芳しくないことをうかがわせていた――。

その直前の4月26日、日本スケート連盟は“羽生結弦(21)がリスフラン関節靭帯損傷のため全治2カ月”と公表した。世界選手権直後明かされた怪我の状態は思いのほか重症だったのだ。

「リスフラン関節靭帯は足の甲の部分にあり、フィギュアのようにジャンプを何度もする競技では故障することも多い。ある意味“職業病”ともいえるでしょう。ケガの見極めは難しいのですが、治療が遅れれば手術が必要になることも。ひどい場合は体重をかけると息もできないほどの激痛が走ります」(スポーツジャーナリスト)

公表された数日後、カナダの練習拠点に姿を見せたという羽生。いつもは自宅から地下鉄とバスを乗り継いで通っていたが、この日は車で到着。松葉杖をつき、左足をかばうようにゆっくり歩いていたという。

「彼は昨年10月のシーズン当初から左足の甲の痛みを訴えていたそうです。しかし精密検査をしないまま激しい練習を続け、本番を戦い抜きました。その後、3月の世界選手権で今季を終えてようやく病院で正式な診断が下されましたが、外科手術をするかどうか判断が迫られるほどの状態だったそうです」(フィギュア関係者)

ギプスで固定する保存療法か手術か。羽生は悩んでいたというが、それと同じくらい胸を痛めていたのは母・由美さんだった。

「軸足となる左足は、選手にとって最も重要なところです。そのため手術が成功したとしても、微妙な感覚のズレが出てしまうだけで致命的といえます。由美さんはそうしたリスクを心配して『手術はやめて!』と願ったそうです」(別の関係者)

不幸中の幸いというべきか、今回は靭帯が断裂していなかったため、保存療法を選択することに。1カ月程度固定して靭帯の回復が確認された場合、歩行リハビリが開始されるという。

「足は固定されて絶対安静状態なので、現在は膝から上のストレッチや上半身の筋肉を落とさないようなトレーニングを専属トレーナーのもとで行っています。本来は来季のプログラム曲を決める時期に来ているのに、それもできない状態。羽生選手には焦りもあるようです。しかし、リスフラン関節靭帯の損傷は、どこをもって完治したかもわかりにくいし再発の危険性もある。そのため治ったからすぐ元通りとはいえず、慎重に経過を見ていく必要があるのです」(スケート関係者)

4月下旬、リンクに姿を見せた羽生はジュニアの選手たちから「ア〜ユ〜オールライト(大丈夫)?」と声を掛けられた際、「シュア(決まってるじゃん)!」と応えていたという。今季は心身ともに疲れ切っていた羽生。今はゆっくりしなさいという神様からの指令なのかもしれない――。