何とも物足りない、気が抜けるような試合だった。

 リオデジャネイロ五輪を目指すU−23日本代表がガーナ代表とテストマッチを行ない、3−0で勝利した。五輪本大会でナイジェリアと対戦することを踏まえ、アフリカ勢を招いての強化試合だったが、その効果は期待薄。緩慢な動きが目立つ相手に対して、次々とチャンスを作れてしまう試合はある程度予想できたこととはいえ、本番を想定した予行演習には程遠かった。

 選手からも「もっと身体能力を生かしたプレーをしてくるかなと思ったが、当たり負けもせず、こっちのペースで試合ができた」(MF橋本拳人/FC東京)といった、拍子抜けする声が多く聞かれた。

 今回対戦したガーナは、一応A代表ということにはなっている。だが、来日メンバー17名のうち、日本と同じ1993年以降生まれ(23歳以下)の選手が12名もいて、実質的にはU−23代表にオーバーエイジの選手を少し加えたといった構成。しかも、ガーナ国内でプレーする選手ばかりのうえ、「所属クラブの事情で招集できない選手もいて、ベストメンバーで来られなかった。初めてガーナ国外でプレーした選手もいた」(マクスウェル・コナドゥ監督)というのでは、仕方のないところだろう。

 むしろ、遠路はるばる日本までやってきて、前半30分までに0−3と大きく点差が開いてもなお、試合を投げることもなく、最後まで真剣に戦ってくれたことに感謝しなければならないのかもしれない。

 いずれにしても、日本にとっては強化と呼べる試合でなかったことは間違いない。アフリカ勢特有の身体能力の高さを生かしたスピードとパワーを肌で感じ、本大会へ向けての課題をあぶり出すには到底至らなかった。

 だが、そんな試合にも見るべきところはあった。それが、この試合で初めてコンビを組んだ、FW浅野拓磨(サンフレッチェ広島)とFW富樫敬真(横浜F・マリノス)の2トップである。

 浅野が今年1月のアジア最終予選(アジアU−23選手権)にも出場していたのに対し、最終予選後に初選出された富樫は、これがU−23代表での初めての国際試合。浅野は「(富樫の)特徴はつかんでいたが、初めて2トップを組んだので難しさはあった」と話していたが、互いに特徴を生かし合う連係はこれが初コンビとは思えないほど良好だった。

 富樫が中盤のスペースにうまく潜り込んでパスを引き出す一方で、浅野はスピードを生かしてDFラインの背後を狙う。そんなコンビネーションは随所に見られた。

「お互いの役割について、(手倉森誠)監督も含めて3人で話した」

 試合後、そう語っていた富樫だったが、連係のよさは浅野とだけではなく、チームに加入してまだ日が浅いとは思えないほど、中盤の選手たちともうまく絡んでいた。

 また、浅野と違って実績がない初出場の富樫が、ゴールという結果を残せたこともよかった。

 浅野からのパスを受けた瞬間、「GKが早めに出てきたのが見えていたので、ループ(シュートが)できるかなと思った」という富樫は、シュートコースを防ぎに飛び込んできた相手GKとDFをいなすようにフワリとボールを浮かし、ループシュートを決めた。

「チャンスはあったのに、2点目を取れないのが自分の実力。相手のプレーの質が落ちた後半こそ、いいゲームをしなければいけなかったのに、ミスが目立った」

 富樫はフル出場した試合をそう振り返って悔しそうにしていたが、FWとして最も重要なゴールという結果を残したことも含め、今後に期待が高まるプレーを見せたことは確かだ。

「(5月18日からの)トゥーロン国際大会や、リオ五輪までの時間でお互いのイメージを合わせていきたい。2トップにボールが入ったときのサポートの仕方を工夫していければいい」

 初のコンビに手応えを感じた様子で浅野がそう語れば、富樫もまた「もっとやれた部分がある。(浅野と)一緒にやったのは初めてだったし、正直、もっと一緒にやりたい」と、さらなるコンビネーションの熟成に意欲を見せた。

 この世代のFWは、アジア最終予選で鈴木武蔵(アルビレックス新潟)、久保裕也(BSCヤングボーイズ/スイス)など、タイプの違う選手が日替わりで活躍したように、駒の数こそ豊富だが、その半面で確たる軸が定まってないのが現状だ。だからこそ、大迫勇也(ケルン/ドイツ)、大久保嘉人(川崎フロンターレ)らのオーバーエイジ枠での招集が噂されるのだろう。

 だが、五輪本大会へ向けて得点力アップの切り札となりうるのは、決してオーバーエイジ枠の選手ばかりではない。

 アジア最終予選ではスーパーサブだった浅野と、アジア最終予選には出場さえしていなかった富樫という新コンビが、これといった見どころのなかったガーナ戦で、キラリと光る可能性を示してくれた。

 このチームは、粘り強い守備でどうにかアジアを勝ち抜き、リオ行きのキップを手にした。決して得点力が高いとは言えないチームだったが、ここに来て新たに魅力的なオプションが生まれたのは間違いない。

 浅野拓磨と富樫敬真。この2トップには、もっと見てみたいと思わせる魅力があった。

浅田真樹●文 text by Asada Masaki