『美しくなるためのランニング講座』  第2回●準備運動と姿勢について

ランニング初心者の馬場ふみかさん(女優・モデル)がフルマラソン完走を目標にトレーニングを開始! 指導担当は、湘南ベルマーレ・トライアスロンチームの中島靖弘ヘッドコーチ。「楽しく、頑張りすぎない」ランニング講座の第2回。

【プロフィール】
中島靖弘
湘南ベルマーレ・トライアスロンチーム・ヘッドコーチ。ニューバランスランニングアドバイザー
馬場ふみか
女優・モデル。新潟県新潟市出身。167cm。

●初心者が走る前に陥りがちなミスとは

 初心者は、ランニングは頑張るものと思ってしまう傾向にあります。頑張ると余計な力が入り、姿勢が悪くなってしまい、必要のない筋肉を使ってしまう。すると余計に疲れてしまい、ケガをして、結果的に続かなくなってしまう。つまり、「頑張る」ことは、初心者にありがちな大きなミスなのです。

 初心者ほど、「頑張りすぎない」ことを意識してください。達成感を得るほど練習で走る必要はありません。「ちょっと物足りない」くらいで終わったほうが、余力が残り次へのモチベーションも高めやすくなります。

 実は、初心者がスポーツを始めるときに一番楽しいのは買い物なんです(笑)。

 いざ始めても、つらかったり、うまくできないことがあって一度嫌な思いをしてしまうと、腰を上げづらくなってしまう。そうしたモチベーション低下を防ぐために、「違う服を着て走る」という楽しみができますから、ランニング用の服や靴を2セット買うのもいいと思います。

 ランニングを楽しく継続させるためには、無理は禁物。ダイエットもそうですけれども、継続して定着させないと成功ではありません。リバウンドしてしまったら、一瞬その体重になっただけの話。ランニングも一緒で、練習を継続させ、定着させることが一番です。

 フルマラソンでの失敗パターンは、前半から頑張ってしまい、後半がきつくなってしまうんです。ですから、前半いかに楽に走るかが大切。よくフルマラソンは30キロ地点からが本番と言いますが、その通りで30キロがスタートだと思ってもいい。ランニングライフも初心者から頑張らずに、ゆっくり、のんびりスタートしてください。

■姿勢のチェックと準備運動

 肩甲骨を内側に寄せると胸を張ることができます。そして、軽くお腹を引っ込めることで、重心の位置が理想に近くになります。馬場さんは、これはできているのですが、もうひとつ。肋骨を上からクレーンで吊るすようにお腹の上に引き上げるようにすると、さらに姿勢がよくなります。逆にお腹の力が抜けてしまうと首が前に出てしまうので注意しましょう。

 姿勢が悪いと太ももの前の部分をたくさん使うことになってしまい、ランニングの効率を悪くしてしまいます。猫背など姿勢の癖がある方は、正しい姿勢を維持すること自体がツラいかもしれませんが、とても大切なことなので、まずはこの姿勢をキープできるところから始めましょう。

 次に、この姿勢を覚えるためのストレッチをやってみましょう。これは簡単で、手の平を背中で組んで、腕を引っ張るようにしてギュッと上げていきます。胸の筋肉が硬いと肩甲骨を動かす邪魔をしてしまい姿勢がうまく取れないので、しっかりと肩甲骨が寄るように30秒ぐらい続けます。肩が上がらないように注意してください。

 その次に、肘を曲げて片腕を頭の上にあげ、反対の手でその肘を持って、内側にひっぱり、そのまま手で引っ張った方向に身体を横に倒す。左右両方30秒くらい、できれはちょっと上を向きましょう。腋の筋肉を緩めてあげることで、肩甲骨が動きやすくなります。

 準備運動をもうひとつ。小学生のときにやっていたと思いますが、ふたりで互いに両手を持って引っ張り合ってみましょう。前に倒れずに上に伸ばす感じで。これで腕の振りがよくなります。ひとりで行なう場合は、柱や壁を利用するといいでしょう。姿勢をよくするためには、とても有効なストレッチングです。

●ランニングに必要な筋力。腹筋を鍛える

 肘とつま先を地面に着けて、肩甲骨を寄せ、お腹が反らないようにする。この状態を30秒キープしてください。1日1回でOKです。これでランニングに必要な正しい姿勢を保つ筋肉を鍛えることができます。体幹トレーニングのひとつですね。

 姿勢がよくなると日常生活においても疲労度が変わってきます。階段を上っても疲れにくくなる。疲れやすいという人は姿勢が悪いことが多いです。肩こりもそのほとんどは姿勢の悪さが原因になっています。ふだんからお腹を使って立つクセをつけましょう。日常から鳩尾(みぞおち)のちょっと上あたりを引っ込めるように意識し、生活をしてみるといいでしょう。

■準備運動と姿勢の基本を終えて

―― 今日は姿勢のチェックをしてもらっていかがでしたか?
馬場:ちょっと指摘されただけで姿勢もよくなって、立っている感覚も違ったのですごいなって思いました。

中島:指摘されてもわからない人が結構いるんですけれども、馬場さんはすぐにできましたし、感覚が優れていると思います。

―― 馬場さんは、スポーツの経験は?
馬場:ほとんどないんです。昔クラシックバレエをやっていたんですけど、学生時代に部活はやってなかったですし、走ることを極力避けて生きてきました(笑)。

―― 姿勢を正された印象は?
馬場:人間は本来こうやって立つべきなんだと(笑)。

中島:クラシックバレエをやっていたということですから、立っている時のバランスがよかったです。

―― フルマラソンにどんなイメージを持っていますか。
馬場:大変そうですよね......。テレビでマラソンを見るとつらかったり大変な部分ばかりを切り取るじゃないですか。だからそのイメージがすごく強くて。

中島:そんなことないですよ、と言いたいところですが、フルマラソンはきついです(笑)。あのイメージそのまま。だけど、あのつらさを超えると人間的に絶対に変わると皆さん言います。やり続けていると、話す言葉や、仕事に向かう姿勢が変わったという人もいて、生きていくうえでポジティブな影響があるのは間違いないでしょう。苦しいけれどそれを乗り越えると、人として成長できる。大げさに言うと人生が変わるということですね。

馬場:もしかしたらこれまではイメージしていなかった未来があるかもしれませんね。新しい世界の扉が開くかも(笑)。正しい姿勢で歩いて、日常生活でそれを意識してやっていきます。

中島:これから、少しずつ走っていきますけど、いかにフォームが大事かということを学びながら、徐々に進めていきましょう。

石塚隆●取材・構成 text by Ishizuka Takashi