本田圭佑の今夏の去就は? セリエAの新潮流に乗り、MLS挑戦も視野に入るか
夢には必ず終わりがある。ミランで夢を描いてきた本田も、いつか目を覚ます瞬間が訪れる。
まず、本田がミランと結んでいる契約は17年6月まで。つまりあと1年。クラブにとってはちょうど「売り時」なタイミングだけに、今夏の移籍はあながちあり得なくはない話なのだ。しかも本田を取り巻く状況は、刻一刻と変化している。
来季のEL(ヨーロッパリーグ)の出場権獲得を狙うミランは32節のユベントス戦を1-2で落とすと、ミハイロビッチ監督を解任。プリマベーラ(U-19チーム)で指揮を執るブロッキを昇格させる荒療治に出た。
ミラン入団から2年4か月、本田が直面する解任劇は早くも4度目だ。SVホルンの実質オーナーとしての顔を持つ本田だが、現場の意向を無視して進められるフロントの強引な経営方針や内紛に、愛想を尽かしても不思議はない。
気の早い現地紙『コリエレ・デッロ・スポルト』は4月14日付で本田の今オフの去就について、「過去にトッテナムとエバートンがオファーを検討したように、プレミアリーグからの関心はなお高い」と移籍を匂わす記事を掲載した。現実味に乏しい内容ではあったが、本田には常にプレミア行きの噂が上がる。
一方、やはり出番が減少した今冬、サン・シーロのプレスルームで番記者たちが囁き合っていたのが、「本田の移籍先はトルコ、ギリシャ、MLS(メジャーリーグ・サッカー)あたりか」という噂だった。
それから時間が経ったものの、本田の選択肢に確実に入っていると見られるのがMLSだ。というのも近年、MLSはセリエAでプレーするビッグネームにとって、移籍先のトレンドとして定着しつつあるのだ。
15年2月、ユベントスの控えに甘んじていた28歳のジョビンコがトロントに年俸850万ドル(約9億円)という破格の高待遇で移籍し、イタリア中に大きな衝撃をもたらした。さらに昨夏、絶対的な司令塔としてユベントスにリーグ4連覇と2冠をもたらしたピルロがNYシティに移籍して大きな話題を集めた。
また、実質2部に相当するNASL(北米サッカーリーグ)に参戦するマイアミは、ミランOBのマルディーニが共同オーナーに就き、ネスタが監督を務める。元ブラジル代表MFのカカもMLSのオーランド・シティでプレーする。これらの例を見ても、アメリカ・サッカーとミランの接点は少なくない。
例えば本田が移籍を検討した場合、プレミアリーグの中堅クラブに行くよりも(強豪となれば話は別か)、MLS行きのほうが、持ち前の開拓者魂が揺さぶられることは大いに考えられる。
しかも本田はユーベ戦前の現地紙のインタビューで、非常に興味深いことを話していた。彼は自らを「ビジネスの男でもある」と公言し、日本で手がけるサッカースクール事業について熱弁を奮った。さらに次のようなプランを明かしたのだ。
「この教育事業を、タイ、中国、カンボジア、ベトナム、そしてアメリカで展開したい」
今年6月に30歳の誕生日を迎えるだけに、自身のキャリアの集大成について考える時期にも差し掛かっている。その視線の先に、アジアとアメリカ大陸が、有望なマーケットとして映っているようなのだ。
MLSは多種多様な民族向けのマーケット戦略を練り、15年には前年比倍増の約9,000万ドル(約96億円)の放映権料を得た。本田がアメリカに上陸すれば、アジア向けにマーケットを広げる目玉のコンテンツになり得る。
G大阪ジュニアユース、星稜高、名古屋、VVV、CSKAモスクワ、そしてミランへ。本田の半生は、前例なき挑戦の連続だった。
「ミランの背番号10をつけ、サン・シーロでのミラノ・ダービーでスタンディングオベーションを受ける」という夢を叶えた今、本田が新たなる野望―アメリカン・ドリームを追うとしても、なんら違和感はない。
文:弓削高志(フリーライター)
まず、本田がミランと結んでいる契約は17年6月まで。つまりあと1年。クラブにとってはちょうど「売り時」なタイミングだけに、今夏の移籍はあながちあり得なくはない話なのだ。しかも本田を取り巻く状況は、刻一刻と変化している。
来季のEL(ヨーロッパリーグ)の出場権獲得を狙うミランは32節のユベントス戦を1-2で落とすと、ミハイロビッチ監督を解任。プリマベーラ(U-19チーム)で指揮を執るブロッキを昇格させる荒療治に出た。
気の早い現地紙『コリエレ・デッロ・スポルト』は4月14日付で本田の今オフの去就について、「過去にトッテナムとエバートンがオファーを検討したように、プレミアリーグからの関心はなお高い」と移籍を匂わす記事を掲載した。現実味に乏しい内容ではあったが、本田には常にプレミア行きの噂が上がる。
一方、やはり出番が減少した今冬、サン・シーロのプレスルームで番記者たちが囁き合っていたのが、「本田の移籍先はトルコ、ギリシャ、MLS(メジャーリーグ・サッカー)あたりか」という噂だった。
それから時間が経ったものの、本田の選択肢に確実に入っていると見られるのがMLSだ。というのも近年、MLSはセリエAでプレーするビッグネームにとって、移籍先のトレンドとして定着しつつあるのだ。
15年2月、ユベントスの控えに甘んじていた28歳のジョビンコがトロントに年俸850万ドル(約9億円)という破格の高待遇で移籍し、イタリア中に大きな衝撃をもたらした。さらに昨夏、絶対的な司令塔としてユベントスにリーグ4連覇と2冠をもたらしたピルロがNYシティに移籍して大きな話題を集めた。
また、実質2部に相当するNASL(北米サッカーリーグ)に参戦するマイアミは、ミランOBのマルディーニが共同オーナーに就き、ネスタが監督を務める。元ブラジル代表MFのカカもMLSのオーランド・シティでプレーする。これらの例を見ても、アメリカ・サッカーとミランの接点は少なくない。
例えば本田が移籍を検討した場合、プレミアリーグの中堅クラブに行くよりも(強豪となれば話は別か)、MLS行きのほうが、持ち前の開拓者魂が揺さぶられることは大いに考えられる。
しかも本田はユーベ戦前の現地紙のインタビューで、非常に興味深いことを話していた。彼は自らを「ビジネスの男でもある」と公言し、日本で手がけるサッカースクール事業について熱弁を奮った。さらに次のようなプランを明かしたのだ。
「この教育事業を、タイ、中国、カンボジア、ベトナム、そしてアメリカで展開したい」
今年6月に30歳の誕生日を迎えるだけに、自身のキャリアの集大成について考える時期にも差し掛かっている。その視線の先に、アジアとアメリカ大陸が、有望なマーケットとして映っているようなのだ。
MLSは多種多様な民族向けのマーケット戦略を練り、15年には前年比倍増の約9,000万ドル(約96億円)の放映権料を得た。本田がアメリカに上陸すれば、アジア向けにマーケットを広げる目玉のコンテンツになり得る。
G大阪ジュニアユース、星稜高、名古屋、VVV、CSKAモスクワ、そしてミランへ。本田の半生は、前例なき挑戦の連続だった。
「ミランの背番号10をつけ、サン・シーロでのミラノ・ダービーでスタンディングオベーションを受ける」という夢を叶えた今、本田が新たなる野望―アメリカン・ドリームを追うとしても、なんら違和感はない。
文:弓削高志(フリーライター)