連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第6週「常子、竹蔵の思いを知る」第33話 5月11日(水)放送より。 
脚本:西田征史 演出:岡田健


滝子(大地真央)が学費を出していたことを知って、君子(木村多江)は頑として受け取りを拒否します。
滝子は娘と孫を心配してのことなのでしょうが、君子は母に頼らないというプライドと、あと、母に借りを作ったら、常子(高畑充希)を清(大野拓朗)の嫁にやらないといけなくなると警戒しているのでしょう。
未だ何も知らない常子は、森田屋の母子(秋野暢子、ピエール瀧)の卵焼きを巡る攻防を冷静に見つめていたり、浜松からやって来た、とと(西島秀俊)が勤めていた遠州浜松染工の杉野社長(田山涼成)の隠し事を、鮮やかに見破ったりする余裕があります。杉野社長を追いつめていく時の、名探偵のように余裕綽々な表情を見ている(高畑充希の笑顔と台詞の言い回しが小癪な感じで良いのです)と、君子と滝子の母娘意地っ張り合戦の原因が自分であることを知った時、どんな顔になるのか気になってしょうがありません。アイデンティティが崩壊してしまいそうで心配です。

知らないと言えば、隈井(片岡鶴太郎)。酒に酔ってうっかり君子に学費の秘密をしゃべってしまったことをまったく覚えていません。暢気なものです。「とと姉ちゃん」は、お弁当の配達間違いの時もそうでしたが、失敗した人間を吊るし上げるようなことが一切ないのが良いところだと感じています。じめっとしたところがないんですよね。
自分のしたことに気づいてない隈井。自分が原因だと気づいてない常子。母の気持ちに気づいていない君子。
人間は知らないことがいっぱいあるんだなあと思わせる6週です。

君子と美子の調子の良さ


ほのぼのからりとした「とと姉ちゃん」の中で、君子の強情さだけが濡れ煎餅のように生々しく感じます。
実家の真裏の森田屋に住み込みで働いているのは、ちゃんとやってるところを滝子に見せるためとか言い出した時は、うわ、この人、自分に都合よく話をつくるお調子者タイプね、と苦笑してしまいました。
それでも一応「武士は食わねど高楊枝」的な生き方を実践している母に隠れて、美子(根岸姫奈)が滝子のところへ「いつもありがとうございます」とニヤニヤ物乞いに。幼いからとはいっても、ちょっと残念な生き方です。
残念ながら君子に拒否された滝子は、美子にももう施さないことにします。おかしが得られなくなった途端、お友達も美子に素っ気なくなって・・・。もっとも、美子は君子と滝子のとばっちりを受けているだけなので可哀想といえば可哀想です。
(木俣冬)