『能町みね子の純喫茶探訪 きまぐれミルクセ~キ (オレンジページムック)』能町みね子 オレンジページ

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 珈琲、紅茶、クリームソーダー、ミックスジュース......。喫茶店を訪れ、必ず頼む定番の一品、あるいは、ついつい頼んでしまうメニューはあるでしょうか。漫画家・文筆家として活躍する能町みね子さんは、子どもの頃から"ミルクセーキ"が大好きだといいます。

 先月、上梓した『きまぐれミルクセ〜キ』では、能町さんの溢れんばかりのミルクセーキ愛が爆発。

「喫茶店のメニューで私が子供のころから好きなのは、ミルクセーキです。甘ったるさ。卵のまろやかさ。温めても冷やしてもイケる、やわらかい乳白色の優しい飲みもの。シェイクではなく『セーキ』という、古めかしい響き。ああ、大好き!」(本書より)

 元々は"エッグノック"という名のカクテルだったというミルクセーキ。卵黄と牛乳、砂糖を混ぜ、ブランデーやラム酒が入ったクリスマスに飲まれるイギリス生まれのカクテル・エッグノック。ミルクセーキは、その子供用の、アルコールの入らないものなのだといいます。

 本書では、東京そして全国各地で能町さんが訪れた喫茶店のミルクセーキを紹介。それも喫茶店自体に年季が入っており、「こぢんまりとしていて窓は少なく、あるいは小さく、照明も控えめで店内は暗め。木の壁には積年のタバコのヤニがこびりつき、店内を色で表すなら飴色から焦げ茶色。ポップというよりはクラシックな雰囲気」(本書より)を持つ、いわゆる純喫茶のミルクセーキが紹介されていきます。

 ふらりと入った喫茶店で出合ったミルクセーキ。一口にミルクセーキといっても、材料の配分、作り方、見た目、味はそれぞれの喫茶店によって異なるようです。

 そんな中、これぞミルクセーキ、というバランスの良い味を楽しめるのは、高田馬場の駅前にある創業47年以上だという"ロマン"。幅広い客層で賑わう店内の一角には、"関ジャニ∞ウィズエイター様"と書かれた札の置いてある席が。

 実はこのロマン、映画『ばしゃ馬さんとビッグマウス』のロケ地であり、札の置いてある席は関ジャニ∞の安田章大さんが座った場所だということで、ファンの間では聖地となっているのだといいます。聖地巡礼も大歓迎だというロマン。純喫茶に行ってみたいけれど敷居が高そう、と思っていらっしゃる方でも入りやすい一軒かもしれません。

 あるいは、東京スカイツリーのお膝元、押上にある昭和10年開店の"喫茶 珈生園"。卵の風味がしっかりときいている、やさしい味だというこのお店のミルクセーキは、なんと温かいもの。レアなミルクセーキを飲んでみたいという方にはオススメの一軒です。

 メニューに存在していても、あまり気に留めていなかった方も多いであろう"ミルクセーキ"。本書を読んだあと喫茶店を訪れれば、能町さんならずとも思わず頼んでみたくなるはずです。