新宿駅西口の「新宿高速バスターミナル」。利用者は、年季の入った待合室で乗り場を確認し、ビルに横付けされた高速バスで全国に旅立つ――。今年で45周年を迎えたこの地は、人気テレビ番組「水曜どうでしょう」にも度々登場した。初回に乗った高速バス「オレンジライナー」や、キング・オブ・深夜バスこと「はかた号」に乗り込む姿が記憶にある人も多いだろう。

そんなバスターミナルが2016年4月から、南口の「バスタ新宿」へ移行。ゴールデンウィークまでは降車や、臨時便の乗車に使われていたが、ついに5月8日、その歴史に幕を閉じた。それから一夜、あの場所はどうなっているのか。Jタウンネット記者は5月9日、「聖地」へ向かった。

すでに看板は隠されていた

ここから発着していたのは、京王バスの「中央高速バス」など。日中は山梨県や長野県へ向かうバスが多いが、夜になると、北は青森、南は四国(高松、松山など)、そして「はかた号」の九州・博多まで、全国各地へと人々を運んできた。


布とフェンスに覆われている

あいにくの「涙雨」に打たれながら、ヨドバシカメラ本店前へ向かう。たった半日しかたっていないのだが、すでに「新宿高速バスターミナル」の看板は布で覆われていた。待合室の出入口はシャッターが閉ざされ、乗り場の一部はフェンスで囲ってある。


もちろん乗客はいない

見回してみても、もちろん乗客はいない。灰色のシャッター前に、数人の作業員がいるのみだった。ターミナルのあった「MY新宿第ニビル」には、ヨドバシカメラの一部売場と駐車場がある。隣接する「110ビル」も待合室として使われていたが、こちらも当然ながら閉鎖されていた。


ビニールで覆われた110ビルの待合室(左下)

なお、増発された場合の「続行便」は、西口ロータリー沿いの26番・27番のりばを利用する。停留所にバスの姿はなかったが、もうすぐ到着するのだろうか、誘導員がポツンと立っていた。


雨の26番のりば


増便はここから出発

ターミナルのそばには、「デイリーヤマザキ 新宿高速バスターミナル店」がある。オープンわずか数年だが、多くの乗客が食料を買い、サービスエリア休憩までの空腹を満たしてきたこの店。まもなく「西新宿1丁目店」といった無難な名前に変わってしまうのだろうかもしれない。